M-1ファイナリストに聞く コロナ禍で目覚めた天才モグライダー

有料記事

聞き手・西田理人
[PR]

 初のM-1決勝進出を決めた時、周りの芸人仲間からひときわ大きな拍手を送られたコンビがいた。才能と実力を高く評価されながらも、賞レースで浮上のきっかけをつかめずにいたモグライダー。実生活でも何をやってもうまくいかないともしげと、行き当たりばったりな芝大輔を、コロナ禍が変えた。

モグライダー

芝大輔(38)=愛媛県出身=と、ともしげ(39)=埼玉県出身=が、2009年に結成。マセキ芸能社所属。M-1では今年初めて準決勝に進み、そのまま決勝進出を決めた。ネタ合わせをほとんどせず、舞台での漫才はほとんどがアドリブ。天然キャラのともしげを、芝がおもしろおかしく正していく。

 ――ファイナリスト発表会見で、「お待たせしました」と言ったのが印象的でした。

 芝 「あのセリフが格好良かった」と言っていただくことも多いのですが、そんなつもりはないんです。これまでも周囲の皆さんに応援してもらっていたのに、毎回ふがいない結果で。「すみません」という思いで、とっさに出た言葉でした。

 ともしげ 今年は錦鯉さんがいるので目立ちませんが、僕らも芸歴ばかり重ねて40歳のすぐ手前。本当に良いのかなと……。

コロナ禍で「この先やっていけるのか」

 ――「今年は真摯にしっかり構成したのでここまで来られた」とも言っていましたね。

 芝 いつも劇場ではアドリブが多く、M-1に合わせてネタを作り込むようなことをしてこなかった。練習もほとんどしません。でも、それだとやっぱり準々決勝くらいが限界。そろそろいい加減にしなきゃと思い、真剣にネタ作りに取り組んだ1年でした。

 ――意識の変わるきっかけはあったんでしょうか。

 ともしげ コロナ禍ですかね。テレビやライブの仕事がなくなり、ただただ何もできない時間が増えました。僕の場合は飲食店のバイトもなくなって。バイトもできない、お笑いもできない。何もしていない自分にいる意味はあるのかと思い、落ち込むことも一度や二度ではなかった。

 芝 自粛期間中にできるのは、ネタを考えることくらい。ライブができなくなり、初めてあそこで色々なものを発散していたことに気付きましたね。

 ともしげ 芸人としてこの先やっていけるのかという危機感が募り、まずはM-1と逃げずに向き合おうと話し合いました。もちろん気持ちを入れ替えてすぐに結果が出るわけでもなく、昨年の大会ではまだまだ甘かったと痛感するのですが。

 ――そしてとうとう今年、決勝にたどり着きました。

 芝 例年の僕らは、その場のノリだけで受けると満足してしまった。今年は真面目に向き合っていた分、そこそこのウケでは納得せず、気を抜くことなくやってこられました。

 ――目の前のお客さんを笑わせることに飢えていた部分もあったのでしょうか?

 ともしげ 僕たちの芸風はお客さんがいてはじめて成り立つ部分がありますからね。こんなご時世ですが、準決勝にお客さんが入ってくれて本当に良かった。お客さんも笑いに飢えている感じがあり、「もっとちょうだい!」という空気がやりやすかったです。

「相方ファースト」のコンビ愛

 ――天然さが魅力のともしげさんと、それを巧みに笑いに変える芝さん。コンビの芸風をどのように考えていますか。

 芝 「ドキュメンタリー」で…

この記事は有料記事です。残り915文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません