M-1決勝、ファイナリスト9組を一挙紹介 敗者復活戦勝者にも注目

聞き手・仲程雄平
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決勝進出を勝ち取った9組
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 「M-1グランプリ2021」の決勝が19日に迫った。準決勝を勝ち抜いたファイナリストは、バラエティーに富んだ9組。うち5組が初の決勝だ。M-1にこれまで計6回挑み、今年も1回戦で涙をのんだ記者(38)が、お笑い評論家のラリー遠田さん(42)に各コンビの特長を聞いた。(並びはエントリー番号順)

1 もも(初 吉本興業

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もも。まもる。(左)とせめる。

 わかりやすくて、しゃべりのテンポがいいです。耳心地がよく、耳で聞いて自然に楽しめます。彼らが持っているリズムみたいなものがあるので、漫才のだいご味を味わえる漫才師です。

2 真空ジェシカ(初 プロダクション人力舎)

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真空ジェシカ。ガク(左)と川北茂澄

 東京のライブシーンでは注目のコンビです。とがったネタ、変なネタをやるんですが、大喜利力みたいなものがあって、ボケが予測がつかない方向からきて面白いです。

 もともと一発一発に破壊力がありましたが、今年は構成力も加わって、ネタ全体がしっかりしました。より隙がなくなりました。

3 モグライダー(初 マセキ芸能社)

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モグライダー。芝大輔(左)とともしげ

 ともしげさんのちょっととぼけた天然っぽいキャラクターと、芝さんのちょっとヤンキー風のツッコミがあって、すごくバランスのいい漫才です。芝さんがともしげさんを泳がせるときの緩急の付け方とやり方、そこが見どころです。

4 オズワルド(3年連続3回目 吉本興業)

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オズワルド。畠中悠(左)と伊藤俊介

 実力派です。強みは、彼らにしかない、話の持って行き方。漫才の題材自体はたわいもない話ですが、とぼけたキャラクターとちょっとクセのあるツッコミでどんどん話を展開させていきます。

 東京っぽい芸人で、「もも」とは逆とも言えます。ももはテンポがいいですが、オズワルドはわざとテンポを外しています。そのリズムが逆に気持ちがいい。見る側の心理をあやつり、ツッコミとボケのさじ加減が絶妙です。みんなが思っているところを外して、半歩上のツッコミをやられると驚いて笑っちゃいます。東と西のスタイルの違いだと思います。

5 ランジャタイ(初 グレープカンパニー)

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ランジャタイ。伊藤幸司(左)と国崎和也

 準決勝でとにかくものすごくウケていました。ボケで笑うとか、ボケに対するツッコミで笑う、というのが普通ですが、準決勝ではそういったことは関係なく、お客さんがずーっと笑っていました。ランジャタイ自体に笑っているというか、もう洗脳されているみたいな感じでした。

 爆発力があります。あの2人が変なことをやっているのを面白いな、と一度思ってしまったら、あとは何をやっても「面白い」ってなっちゃう感じです。

 逆にハマらない人にはまったくハマりません。冷めた目で見たら全然面白くないので、イチかバチかです。その時のお客さんと審査員にハマるかハマらないかです。最初にハマったら一気に行きますし、ハマらなかったら、史上最悪にスベる可能性も十分にあります。

6 インディアンス(3年連続3回目 吉本興業)

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インディアンス。田渕章裕(左)ときむ

 田渕さんのパワフルなボケは言わずもがなで、隙間なくボケ続けます。これはこれで一つの新しいスタイルです。ツッコミが終わる前に次のボケを言う、というボケの羅列です。

 お客さんとしては、1個目のボケで笑ったり理解したりする前に、もう2個目のボケが来るから、そこで笑っちゃいます。そのパワーで4分間走りきるところが、「もも」とも「オズワルド」とも違う、ボケ主導型の彼らのやり方です。

 田渕さんが魅力的ですが、ツッコミのきむさんが年々うまくなっています。前までは本当に田渕さんのワンマンショーでしたが、きむさんが田渕さんをうまく泳がせて間合いがとれるようになってきて、より安定した感じがします。

7 ゆにばーす(3年ぶり3回目 吉本興業)

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ゆにばーす。はら(左)と川瀬名人

 とにかく川瀬さんのM―1に対する情熱が異常です。「M―1で優勝したら芸人を引退する」と公言しています。「M―1だけが生きる目的」とまで言っている恐ろしい人です。それぐらいM―1にかけてきています。

 今までは、どっちかというとコントに入る漫才をやっていたんですが、今年はしゃべくりだけでもっていく漫才になっています。自分たちのキャラを生かしながら、しゃべりで聞かせるように進化したんじゃないかと思います。そこが見どころです。

8 錦鯉(にしきごい)(2年連続2回目 ソニー・ミュージックアーティスツ)

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錦鯉。長谷川雅紀(左)と渡辺隆

 昨年と基本は変わっていません。ボケの長谷川さんの、おじさんなんだけど底抜けに明るいキャラクターはやっぱり魅力です。昨年はそれを押していましたが、今年のネタは割と渡辺さんのツッコミのうまさが光っています。

 渡辺さんはすごく器用な人で、評価されています。お笑いコンビの「バイきんぐ」は昔から渡辺さんを作家のようにしていて、相談などもしています。渡辺さんは陰の実力者で、すごくツッコミもうまいし器用。今年は渡辺さんのツッコミのうまさも光るようなネタになっているので、昨年よりさらにウケそうな感じがします。

9 ロングコートダディ(初 吉本興業)

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ロングコートダディ。堂前透(左)と兎(うさぎ)

 どちらかというとコントの人です。コントでは、ツッコミがあんまり強くない不思議な世界観で、そのままそれを見せるスタイル。漫才もコントと同じやり方です。2人だけの不思議な世界を構築して、その中で笑いどころを置いていく感じの漫才です。

10 敗者復活戦の勝者

 ラリー遠田さんにはファイナリスト9組について聞いたが、敗者復活戦から上がってくる1組にも注目だ。挑むのは16組。テレビなどですでに活躍している芸人も多い。

 16組は、3年連続で決勝に進出した(1)見取り図、2連続で決勝に進出した(2)ニューヨーク、ラストイヤーの(3)ハライチと(4)アルコ&ピースのほか、(5)ダイタク、(6)ヨネダ2000、(7)男性ブランコ、(8)さや香、(9)金属バット、(10)ヘンダーソン、(11)カベポスター、(12)からし蓮根(れんこん)、(13)アインシュタイン、(14)東京ホテイソン、(15)マユリカ、(16)キュウ。

(ダイタクからはエントリー番号順)(聞き手・仲程雄平)

M-1グランプリ

 今回で17回目。過去最多となる6017組がエントリーした。決勝は19日、テレビ朝日系で生中継される

 出場資格はプロ・アマ問わず結成15年以内で、審査基準は「とにかくおもしろい漫才」。勝者には賞金1千万円が贈られる。

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お笑い評論家のラリー遠田さん=本人提供

ラリー遠田(らりー・とおだ) 1979年生まれ。テレビ番組制作会社勤務を経て、フリーライターに。お笑い評論家として活動し、『お笑い世代論』『M―1戦国史』など著書多数。