第2回パワハラ助教に狂わされた人生 相談後も動かぬ大学、私は退学選んだ

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藤波優
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 大学院に進学して、2カ月が過ぎたころだった。

 関西地方に住む女性は、指導教員である男性助教からのハラスメントに耐えられなくなり、大学院に行けなくなった。

 「大学に行けてないし、もう、行くつもりもない」

大学で指導者の男性教員からハラスメントを受けても、女性研究者の多くは我慢している現実があります。勇気を出して大学の相談室に訴えても、立場の弱さもあって、適切な対応が受けられるとは限りません。二重のダメージが彼女たちを傷つけます。

 「自分は価値のない人間だ」

 実家に電話をかけた。

 母親は、以前から娘が助教とうまくいっていないことは聞いていたが、ここまで傷ついていたとは知らなかった。すぐに実家に呼び戻した。

 10年近く前のことだ。

 女性の父親が思い切って、大学の研究室代表の教授にメールをした。

 「突然のメールお許しください。成人した娘の事ですので口を出すまいと思っておりましたが、助教の教員として、いや社会人として常識のない指導のあり方に憤りを感じてメールしました。助教のパワーハラスメントについて親として許せません」

 約10日後、父親は相談室を訪れて説明した。

 「研究室で助教から『論文がぶさいくである』『研究者でなければ、人間のクズ』などと言われた」

 「娘が『反省している』と述べたメールをほかの研究室員らに無断で同送された」

 父親の説明は、その後、大学がまとめた相談概要の文書にも記載がある。

初めての研究室、「女か。男の方がよかった」

 女性と両親は、助教からの謝…

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    内田良
    (名古屋大学准教授・教育社会学)
    2022年1月24日6時42分 投稿
    【視点】

    大学は制度上も、そして空気としても、一見すると各種ハラスメント対応はそれなりにできているように見えます。問題は、ハラスメントが実際に発生したとき、結局のところ被害者側が泣き寝入りする可能性は、依然としてかなり大きいのではないかということです