30年前の日朝国交正常化交渉開始へ道筋をつけた、自民・社会両党による訪朝団(団長は金丸信・元副総理)。外務省による当時の報告書が、22日公開の外交文書に含まれていた。訪朝団に対し、北朝鮮が国交正常化交渉を提案したことが当時驚きをもって受け止められたが、報告書には北朝鮮側の「政策転換」への言及が記されていた。
この報告書は「秘 無期限」の印がある「金丸元副総理の訪朝(概要)」2枚で、1990年9月28日付。訪朝団と朝鮮労働党が「できるだけ早い時期に国交関係を樹立すべき」という共同宣言を発した日に、朝鮮半島を担当する外務省北東アジア課で作られた。
今回の外交文書公開で、この報告書は、翌29日にニューヨークで開かれる日米首脳会談の準備資料を綴じたファイルの中にあった。同じファイルに極秘指定されたその会談録もあり、海部俊樹首相がブッシュ(父)大統領に「(金丸氏らの)訪朝中に事態が急速に進展した模様である」と伝える様子が記されている。
24日に訪朝団が平壌入りする前、北朝鮮が国交正常化交渉に応じる可能性はほぼないとみられていた。北朝鮮は、すでに韓国と国交を結んでいた日本と国交を正常化することは「朝鮮半島の分断を固定化する」という立場だったからだ。
記事の後半では、北朝鮮が訪朝団に見せた「変化」とともに、公開文書に生々しく記されていた自民党内の不満についても紹介します。
「早急に交渉開始したい」北朝鮮側が言及
これに対し、訪朝団は過去の…