統計書き換え、誰がいつ指示? 問われた国交相「文書確認できず」
国土交通省による建設業の基幹統計の書き換え問題をめぐり、参院予算委員会では17日も論戦が繰り広げられた。斉藤鉄夫・国土交通相は「どの時点から誰の指示で行ったかという点について確認できていない」と発言。2013年度に始まった受注額の「二重計上」についても、指示系統は確認できていないとした。長年にわたる一連の不正は、全容解明にほど遠いのが現状だ。
斉藤氏は予算委で、業者から調査票を回収する都道府県に書き換えを指示していたのは、国交省本省だったと説明。遅くとも10年代前半から書き換えが始まっていたが、斉藤氏によると、会計検査院から19年11月に注意を受けたとした。
だが、この日の予算委でも、誰がどういった動機で書き換えを指示したのかは明らかにならなかった。
共産党の小池晃氏は、都道府県に書き換えを指示した文書を提出するよう要請。これに対し、斉藤氏は「しっかりと探しているが、私自身その文書を見ていない。もしあったら提出させていただく」と述べた。
国の統計をめぐっては、厚生労働省所管の「毎月勤労統計」をめぐる不正が18年末に発覚。政府は全ての基幹統計を一斉点検したが、今回の書き換え行為は明らかにならなかった。小池氏がこの点をただすと、斉藤氏は「ピックアップできなかった。上がってこなかったということ」と述べ、第三者委員会で検証するとした。
これに対し、小池氏は、第三者委より以前の段階で国交省として責任を持って調べる問題だと批判。「これだけ明らかな書き換えを一斉点検で見落としている。全ての統計をもう一度見直すべきだ」と主張したが、岸田文雄首相は「まずはしっかりと経緯や原因を明らかにし、再発防止のために何をしなければいけないのかが第一歩」などと述べるにとどめた。
真相解明にはほど遠い政府の説明に対し、小池氏は「桜を見る会」、自衛隊イラク派遣の日報、森友学園をめぐる公文書改ざんといった問題を列挙し、「安倍政権時代からの異常な体質に徹底的にメスを入れてうみを出し切るべきではないか」と指摘。岸田首相は「公文書、統計は国民に対する政府の説明責任を果たすためにも重要なものであり、民主主義の根幹。様々な不祥事についてしっかり反省する」と強調した。
デジタル庁をめぐる論戦でも、日本維新の会の音喜多駿氏が「安倍政権から連綿と続く公文書やデータ改ざん、廃棄に対して現状のやり方では不十分」などと指摘。岸田首相は、公文書管理のデジタル化などを進めていく考えを示した。(岡戸佑樹)
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