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「医療介入する余地なかった」 急行したDMAT隊員、抱いた無念さ

大阪・北新地のビル火災

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 大阪市北区の繁華街で17日に発生し、27人が心肺停止になった火災。現場に駆けつけた大阪府内の病院に所属するDMAT(災害派遣医療チーム)の男性隊員(59)が当時の様子を語った。

 「火災発生。逃げ遅れが多数」。午前10時30分ごろ、男性が働く病院に、火災の一報が入った。約20分後、大阪府からDMATの出動要請があった。

 普段は技師として働き、DMATの現場では情報収集や連絡調整役を担当している。医師1人と看護師1人とともにドクターカーで出発した。

 出発前、ツイッターで火災の情報を確認した。投稿された火災現場の動画を見ると、「炎は少しで、ほぼ煙」のように見えた。「煙を大量に吸って一酸化炭素中毒になり、心肺停止になる可能性がある。医療チームとしてあまりできることがないかもしれない」。そう覚悟しながら現場に向かった。

 1時間ほど車を走らせて、午後0時10分ごろ、火災現場に到着した。他の病院からもDMATの医師らが来ていた。先に着いていた医師に状況を聞いた。

 救命が困難な「黒タグ」は、26人。軽症の「緑」は2人。中等症や重症を意味する黄色や赤のタグはいないという。

 救急治療の対象となる負傷者がおらず、現場に着いて30分ほどで撤収せざるを得ないと判断した。他の病院から来たDMATも同様に撤収していった。

 隊員は「医療が、介入する余地がなかった。医療を必要とするレベルを超えていました」と無念さを口にした。