「そういえばあの人は…」 高齢登山者を救助、判断分けた1本の電話

有料会員記事

寿柳聡
[PR]

 登山中に知り合った高齢男性の遭難に気づき、速やかな救助につなげたとして、佐賀県内の男性2人が県警小城署から表彰された。途中で別れて下山後、気になって交換していた連絡先に電話したところ、山中に迷い込んでいると判明。ちょっとした偶然と、ためらいつつも通報した判断が最悪の事態を防いだ。

 10月20日午後6時前、佐賀市の自営業西久保竜平さん(49)は登山を終えて自宅に帰る途中、阿蘇山の中岳(熊本県)で起きた大きな噴火のニュースを目にした。「そういえば、あの人は無事に下山しただろうか」。西久保さんはこの日登った天山(佐賀県)で知り合った佐賀市の70代男性のことを思い出した。

 男性と会ったのは午前9時前。あまり知られていないルートで山に一人で入ろうとしていた。仲間で佐賀県小城市の会社経営坂本毅さん(56)と声をかけると、男性がベテラン登山者だと分かった。だが単独で初めて進むには厳しいルートで、高齢でもあったため一緒に登ることにした。

 西久保さんと坂本さんは天山の山中にある忘れられたほこらや巨石などを探しだしては、歩きやすいようルートを整備する活動をしている。男性もそうした「隠れた名所」の存在を知って天山を訪れたという。

 昼食時に携帯電話番号を交換。九州自然歩道まで出たところで、「迷惑をかけるので、この先はマイペースでいきたい」と男性が申し出たため、西久保さんらは帰りは整備された道で帰るように念押しして別れた。

ガラケーに紙の地図・・・案じたきっかけ

 遠い阿蘇のニュースを見た西久保さんが男性を案じたのにはいくつかの理由があった。男性は目を患っていて夜の運転に不安があると話していた。近年多くの登山者がスマートフォンの登山アプリでルートや現在地の確認をしているが、男性は「ガラケー」で、紙の地図を使っていた。

 電話してみると、男性は「道に迷って沢に下り、登りかえしている」「メガネを紛失した」などと話した。「電池が切れるからいったん切ります」と告げられ、通話は終わった。

 西久保さんは「ベテランだし本人も大丈夫とは言っていた」とためらいつつ、「山も暗くなっている。危険な状態では」と思い切って110番通報し山に引き返した。山中の駐車場で坂本さんと合流、駆けつけた警察官が男性に電話して110番通報してもらい、県警のシステムで男性の大まかな位置を把握できた。

 ライトで照らし声をかけながら捜索すると、谷を挟んだ山中に男性のライトが見えた。坂本さんは男性に「けがはありませんか。動かずそこにいてください」と呼びかけた。西久保さんは署員を先導して谷を迂回(うかい)し、午後7時半ごろに男性のもとに到着。幸いけがはなく、午後8時半ごろ一緒に安全な道にたどりついて救助は終了した。

 後に西久保さん宅にお礼に訪…

この記事は有料会員記事です。残り206文字有料会員になると続きをお読みいただけます。