「これから頑張っていこうという人たちが」 大阪のビル火災、悼む人

大阪・北新地のビル火災

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 24人が死亡した放火殺人事件の現場となった大阪市北区曽根崎新地1丁目の雑居ビル前の路上では、日付が変わった後も亡くなった方々を悼む人たちが手を合わせ、花や飲み物を手向けた。

 人通りがまばらになった18日午前2時過ぎ。ビルがある繁華街・北新地で飲食店を経営する梶原ゆう子さん(53)は仕事を終え、白い花を持って訪れた。

 ビルに向かって手を合わせ、一礼。「通勤で毎日通る場所。一度に多くの人の命が失われ、胸が締め付けられる」。2019年7月に「京都アニメーション」のスタジオ(京都市)が放火され、36人が死亡した事件を思い出したという。

 午前3時50分ごろ、仕事帰りに訪れた大阪市北区の不動産経営の男性(50)は、ビル前で1分弱、目を閉じて手を合わせた。

 現場とされるクリニックは心療内科で、ホームページによると、事件当時は職場復帰をめざすプログラムが開かれていた可能性がある。男性はこのことを報道で知り、過去に仕事で行き詰まって苦しんだ経験を思い出したという。

 男性は「仕事をこれから頑張っていこうという人たちが亡くなってしまったのでは。犠牲者に子どもがいたら、妻がいたら、婚約者がいたら、『おれ、来年こそは頑張るよ』なんて言っていたと思う。無念だっただろうよ」と語った。

 夜が明け、街が動き始めた午前8時前。堺市の看護師、井上静香さん(45)は知人とランニング中、「いてもたってもいられなくなって」手を合わせに来た。クリニックのスタッフらが患者と向き合う姿が、自身の仕事と重なって映ったという。「心を癒やすはずの場所が、こんなにも無残な事件の現場に変わってしまうなんて。祈ることしか出来ず、やりきれない」と目を潤ませて話した。