「袋小路で逃げようない」出入り口に炎、クリニック奥に犠牲者が集中

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 大阪・北新地の8階建て雑居ビル放火殺人事件で、病院に運ばれた28人のうち、27人は4階のクリニックで心肺停止状態で見つかった。捜査関係者によると、1カ所しかない出入り口に近い受付近くで男が放火し、診察室などがある奥のスペースに多くの人たちが倒れていた。煙と炎が広がる出入り口に逃げるのは難しかったとみられる。

 クリニックのスタッフだった女性によると、患者や従業員らは出入り口にあるエレベーターか屋内階段を利用。どちらも1カ所のみで、外階段はなかった。

 階段には重い扉も設置されていた。扉はふだん半開きになっているが、力を込めて開けないと通れなかったという。女性は「私の力ではかなりしんどく、簡単には開かなかった」と振り返る。エレベーターは4人ほどしか乗れない小さい造りだった。

 大きな窓は待合室にあった。レバーを倒して外側に押し出すと、隙間から頭と腕がかろうじて出せる程度。通常は閉められていたという。受付付近にも一つ小窓があるが、いつも閉められていたという。

 幅1メートルほどの廊下の一番奥に診察室があり、院長がここで患者を診ていた。週1回は看護師も勤務していた。手前には、職場復帰をめざす講習をする「リワークルーム」があり、毎週金曜日、臨床心理士による講習を開催。10~15人ほどの患者が参加していた。最も多く患者が訪れるのはたいてい金曜日。出入り口に近い待合室には、多いときで約20人が集まっていた。

 リワークルームの手前にはカウンセリングルームがあり、臨床心理士がカウンセリングにあたっていた。リワークとカウンセリングの部屋には扉がなく、患者はカーテンを開けて出入りしていた。

 診察室、リワークやカウンセリングの部屋に窓はなかったという。捜査関係者は急速に煙が充満した可能性があるとみている。

 登記簿によると、クリニックは約90平方メートル。うち約25平方メートルが焼けた。女性は「院内は狭いし、出入り口付近で煙や炎が上がったら逃げようがなく、袋小路の状態。患者さんやスタッフのことがとても心配です」と話した。

逃げ道は階段1カ所 「第2の避難経路を」

 火災の2週間前、診療に訪れ…

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