床下から9億円、プロ野球キャンプ中の着手も…マルサ査察の舞台裏

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村上潤治
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 「全国の税務署に、プロ野球選手から妙な申告書が出ている」

 1996年、名古屋国税局査察部長だった小林剛(たけし)さん(74)は、東京・霞が関国税庁に呼び出された。

 「名古屋が中心のようだから、調べてくれ」

 選手10人が告発・起訴され、プロ野球選手をまきこんだ脱税事件の調査の始まりだった。

 国税庁から調査の指示が出て、名古屋のマルサが動き出した。

 名古屋市経営コンサルタントが、選手らから多額の「顧問料」を受け取ったように装い、選手はその領収書を使って必要経費を増やしていた疑惑が浮上した。

 帳簿上、経費が増えれば所得が減り、支払うべき税金も減らせる。

 コンサル側は「節税」をうたって選手らに近づき、高級クラブなどでの選手らの飲食代も負担していたとされる。

 「ただで酒が飲めて税金も安くなる」

 そんなうわさとともに、税金のごまかしが広がっていた。

 一方で、「プロ野球のシーズンに悪影響を与えるべきではない」という慎重意見もあった。

 開幕前の97年2月、キャンプ中に強制調査に着手した。

申告納税制度の「最後の砦」とも言われるマルサ。1991年に創設され、「プロ野球脱税」など500件以上の脱税事件を告発してきた名古屋国税局査察部の30年を紹介します。プロ野球脱税事件では、ある球団から査察部長あてに一通の手紙が届きました。

 過熱するマスコミの取材を避…

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