京大オケ再来の響き 活動休止越え2年ぶり定演 ライブ配信で

永井啓子
[PR]

 100年以上の歴史をもつ京都大学交響楽団(京大オケ)が21、23日、約2年ぶりに定期演奏会を開く。大学の感染防止策のため、一般客は会場に入れず、ライブ配信となる。コロナ禍で1年半活動できなかった団員らは、再び演奏できる喜びをかみしめる。

 11月中旬、京大吉田南キャンパスの学生集会所で団員約100人が集まり、全体練習をしていた。

 「次のフレーズにどうつなげるか、やってみて」

 学生指揮者の大学院生、佐藤裕樹さん(26)が何度も演奏を止めて各パートに細かい指示を出す。演奏会本番は国内外で活躍する井上道義さんを客演指揮者に迎えるが、通常の練習では佐藤さんがタクトをとる。団員らは指示を聞き、集中した様子で演奏に取り組んでいた。

 京大オケは1916年創設。世界的指揮者・朝比奈隆氏らが輩出。戦時中に演奏への風当たりが強まるなか、年2回の定期演奏会を続けたことでも知られる。演奏会の中止は33年にただ一度。その直前、京都帝大教授が自説をめぐって文部省(当時)から休職処分を受けた「滝川事件」が起き、学内が緊迫していたためで、代わりにラジオで放送したという。

 だが、コロナ禍のなか、昨年4月から今年9月まで活動できなくなった。昨年6、12月に予定した第207回と第208回の定期演奏会は中止に。今年6月の第209回は延期となってしまった。

 10月になって大学が課外活動の制限を緩和したため、ようやく全体練習を再開。定期演奏会の開催も決まった。ただ、今回は第209回ではなく、第210回。延期された回と今回は演奏曲目が違い、それぞれ準備を進めているためだ。中止も数えたのは、コロナ禍で開けなかった歴史を伝えるためだという。

 2年生と1年生は、オンラインで先輩に1対1で教わる機会はあっても、全体練習や演奏会は初めて。ホルンの2年生、古川琴子さん(20)は「やっと練習が始まり、うれしい。しっかり教えてもらってありがたい」。バイオリンの2年生、春名花音(かのん)さん(20)も「今までの分を埋めるように、楽しみもしんどさもぎゅっと来た感じ」と話していた。

 総務の3年生、今城有香子さん(21)は「下級生にオケの運営を引き継ぐために、何としてもやりたかった」と話す。

 ただ、大学が感染防止マニュアルで「団体の正式な構成員であっても、他大学の学生等は参加できない」と規定しており、団員約210人の3割近くを占める同志社大、立命館大、京都女子大などの学生団員は練習に参加できず、演奏会も出られない。

 コロナ禍前は、納得がいくまで練習する団員らの姿が見られたが、今は練習会場は午後8時半に閉まる。練習開始を早めたが、授業が終わらず、間に合わない団員も出てきた。

 それでも佐藤さんは言う。「プライドを強く持って演奏に臨む。その伝統は必ず守っていきたい」(永井啓子)

     ◇

 京都大学交響楽団(京大オケ)の第210回定期演奏会は、21日に京都コンサートホール(京都市左京区)で、23日にザ・シンフォニーホール(大阪市北区)で、いずれも午後7時開演。団員の家族や京大オケOB・OGなど一部の人しか会場に入れない。ライブ配信チケットは、両公演とも1500円。京大オケの公式ウェブサイト(http://www.kyodaioke.com/別ウインドウで開きます)=QRコード=で購入できる。

 演目は、ブラームスの「大学祝典序曲」、交響曲第2番、ハイドンの交響曲45番「告別」の3曲。

 京大オケは、チケット収入の減少などで運営が苦しいことから、広く寄付も呼びかけている。