11月下旬にガソリン購入 大阪の放火殺人事件の容疑者

【動画】ビル火災発生の約30分前、現場から1キロあまり離れた場所を自転車で走る容疑者とみられる男=大阪市福島区内の店舗提供
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 大阪市北区の雑居ビル内のクリニックで17日に24人が死亡した放火殺人事件で、住所、職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)が11月下旬にガソリンを購入していたことが、捜査関係者への取材でわかった。大阪府警は谷本容疑者がクリニックにガソリンをまいて火をつけたとみて鑑定を進める。

 谷本容疑者は現場で催涙スプレー2本を所持しており、府警は計画的な犯行とみて調べている。

 捜査関係者によると、谷本容疑者は11月下旬、大阪市西淀川区の滞在先の住宅近くのガソリンスタンドで、ガソリンを購入していた。ガソリンを携行缶などに詰めて購入するには本人確認が必要で、谷本容疑者は店側に身分証を提示していたという。

 放火現場のクリニックでは、火元とみられる出入り口付近で油分が検出された。火は爆発的に広がったとみられ、府警はガソリンとみて鑑定を進めている。

 防犯カメラなどの捜査で、谷本容疑者は17日午前10時15分ごろにクリニックに侵入し、受付近くで二つの紙袋を蹴り倒して液体を流出させ、ライターで火をつけたとみられている。

 府警によると、谷本容疑者は事件当時、所有する大阪市西淀川区の住宅に滞在していた。住宅付近から3・5キロ東にある火災現場のビルまで、自転車に紙袋を積んで移動する姿が周囲の防犯カメラに映っていた。

 府警によると、事件後に心肺停止状態で搬送された谷本容疑者のポケットから催涙スプレーが2本見つかった。府警は、谷本容疑者がクリニックまでガソリンを運搬する際に、職務質問を受けることなどを警戒していた可能性があるとみている。

 西淀川区の住宅ではビル火災の30分ほど前に放火とみられる火災が起きており、油分が検出された。府警は住宅を現住建造物等放火の疑いで家宅捜索し、可燃性とみられる液体が入った容器も押収した。ガソリンとみて調べている。

 府警によると、谷本容疑者は病院で治療を受けているが、重度の一酸化炭素(CO)中毒などで重篤な状態だという。

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