ほおに冷たさ感じ目覚める 弟が殺された事件が落とした傷

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角拓哉
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 北海道南部の北斗市のタクシー運転手八木橋朋弘さん(当時42)が殺害され、隣接する函館市の岸壁に乗り捨てられたタクシーから遺体が見つかった強盗殺人・死体遺棄事件は、未解決のまま21日で15年を迎えた。遺族を深く傷つけたのは、肉親を奪われた悲しさだけではなかった。

 北斗市に住む八木橋直弘さん(59)は、午前4時ごろになると目が覚めることがある。朋弘さんは弟だ。あの日の光景が忘れられない。

 2006年12月21日午前7時10分ごろ、函館市港町3丁目の函館港の岸壁に「無人」のタクシーが止まっていた。トランクの中から、このタクシーの運転手だった朋弘さんが変わり果てた姿で発見された。

 直弘さんは警察官から事件の説明を受けても朋弘さんが死んだという実感がわかなかった。3日後、函館西署の遺体安置室で対面した。朋弘さんの右ほおには深い切り傷があった。直視できなかった。

 タクシーのGPS(全地球測位システム)の解析から、朋弘さんは21日午前4時すぎに殺害された可能性が高いとされた。兄の直弘さんはこの時間帯になると、右ほおに冷たいものを感じて目覚めるようになった。

 直弘さんからみて、朋弘さんは口数が少なかったが、まっすぐで裏表がない性格だった。自動車整備士の資格を持つ朋弘さんは、同居していた父の勝信さん(故人)と自動車整備工場を経営したいと話していた。事件後、勝信さんも不眠症になり、睡眠導入剤が手放せなくなった。

 犯人の動機がわからないことが、何より不気味だった。当時、直弘さんの子ども2人は幼く、「今度はうちの家が狙われるのではないか」と不安でたまらなかった。

 報道にも悩まされた。父と弟…

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