中国人民銀行が1年8カ月ぶり利下げ 中国経済の停滞で警戒感広がる

北京=西山明宏
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 中国人民銀行(中央銀行)は20日、銀行が貸し出す際の指標となる政策金利「最優遇貸出金利(LPR)」の1年物の金利を0・05ポイント引き下げて3・8%にした。利下げは2020年4月以来1年8カ月ぶり。中国経済は消費や不動産市場の停滞が続いており、政府は金融緩和で景気を下支えする狙いだ。

 1年物は企業向けの貸出金利の指標。一方、住宅ローンの指標となる5年物は4・65%で据え置いた。利下げの発表を受けて中国経済の停滞への警戒感が広がり、株価は下落。上海株式市場は20日、代表的な指数である上海総合指数が2週間ぶりの安値になったほか、香港株式市場のハンセン指数も約2%の下落となった。

 中国では今秋以降、新型コロナウイルスの感染再拡大で移動制限が強化されたことなどから消費が減速。原材料価格の高騰も加わり、中小企業の収益が悪化している。人民銀行は15日から中小企業の資金繰りを助ける名目で、銀行の預金準備率を0・5ポイント引き下げたばかりだった。

 最近は冷え込む不動産市場への対応も強化している。中国メディアによると、人民銀行などは銀行に対し、経営難の不動産企業が持つ良質な開発物件を他企業が買収できるように促し、融資を継続するよう求める通知を出したという。

 米欧の中央銀行は今月に入って金融緩和の縮小を相次いで決めた。新型コロナからの経済回復に伴い、インフレ懸念が急激に高まってきたからだ。一方の中国は来年2月以降には北京冬季五輪全国人民代表大会を控え、移動制限などの措置が強まる可能性が高い。原材料高や不動産業界の不振もくすぶっており、今後の経済成長率について市場は予想を引き下げるなど、中国経済の先行きに慎重な見方が広がっている。(北京=西山明宏)