温泉の「ダムハヤシ」がレトルトに 盛り付けには「建設説明書」も

青瀬健
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 兵庫県朝来市生野町の黒川温泉が食堂で提供している「ダムハヤシ」のレトルト版が発売された。家庭で楽しめるように開発したものだからアレンジはもちろん自由だが、なにしろ相手はダム。盛りつけの一助にと「建設説明書」もついている。

 黒川温泉によると、生野町とハヤシライスとの縁は鉱山で町がにぎわった昭和の高度成長期にさかのぼる。都会からやってきた鉱山職員の社宅で作られ、そのおいしさに地元の人たちは驚いた。この社宅のハヤシライスを復活させたのが「生野ハヤシライス」だ。町内の飲食店がそれぞれの味で提供し、ご当地グルメになった。

 黒川温泉も、トマトベースの「温泉ハヤシライス」をメニューに加えた。もっとご当地感を出そうと、目の前にある黒川ダムをイメージし、2017年11月にダムハヤシを生み出した。

黒川ダムの質感、コーンと豆で

 黒川ダムは「ロックフィル」と呼ばれるタイプのダムで、堰堤(えんてい)に見立てたご飯にコーンと豆を合わせて、その質感を出した。野菜は周囲の緑を、ワカサギのフリッターはふもとの銀山湖を泳ぐ魚を表現した。

 1日限定20食ながら、これまでに約5千食を売り上げる看板メニューに。客からお土産にあればという声があったほか、コロナ下で「楽しいダムハヤシを家でも作れるように」というスタッフの思いから、レトルト化を目指した。

 しかし、食堂での調理とレトルトとでは勝手が違ったと、担当の安達博美さんは振り返る。食堂と同じぐらいの時間タマネギを炒めても、最後に高温加熱するためか、香りは悪く、見た目はどろどろに。問題を解消するために半年ほど、試行錯誤を繰り返した。一方で材料には新たに但馬牛の肉をとり入れ、そのコクとトマトの酸味、タマネギの甘みが詰まった一品に仕上がったという。

 だから外箱には「もちろんご飯にかけるだけでもおいしく召し上がれます」とうたう。が、そのすぐ後に「※ダムハヤシ建設説明書在中」とある。

 はがき大の説明書はカラーイラスト入りで文字がびっしり。①ロックフィルダムの堰堤(エンテイ)を建設します②生野渓谷(黒川)の森と岩を作ります③ダムにハヤシを流し込みます。イラストではルーを「ダムの水」、器に注ぐことを「放流」と呼ぶ。仕上げ用に、お子さまランチに立てるような旗もついている。

 1食680円。問い合わせは黒川温泉(079・679・2067)。(青瀬健)