長良川の写真をアーカイブ 写真家後藤亘さんから岐阜大へ寄贈

松永佳伸
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 学術資料などの収集保管に取り組む岐阜大学の「アーカイブ・コア」は、アマチュア写真家が40年以上にわたって撮り続けてきた長良川の写真約3万6500コマの保存とデジタル化を進めている。長良川流域の風景や人々の暮らしぶりを切り取った写真の数々が、後世に残るだけでなく学術的な活用にも期待される。

 アーカイブ化が進められているのは、岐阜市在住のアマチュア写真家後藤亘さん(92)の作品だ。

 全日本写真連盟会員の後藤さんは45年ほど前、会社員時代に赴任先の高山市で冬山の美しさに魅せられた。それが撮影を始めるきっかけだった。

 当時長良川では河口堰(かこうぜき)の建設計画が持ち上がり、反対運動が熱を帯びていた。後藤さんにとって長良川は、子どものころから生活の一部で身近な存在。「流域に残る豊かな自然や生活する人々の息づかいを記録し、後世に残したい」と考え、ライフワークとして源流から河口までを何度も訪ね、撮影してきた。

 これまで撮りためたのはフィルム約3万コマ、デジタル画像約6500コマにも及ぶ。年齢が90歳を超え、保管してくれる場所を探していた。

 岐阜大は2019年、創立70周年を記念して図書館内に「アーカイブ・コア」を設置。前身の師範学校や岐阜高等農林学校などの時代から蓄積されてきた膨大な資料を、一元的に把握し、眠っている資料を整理したうえで保存、展示公開することにした。

 後藤さんは「自分のフィルムを保管してほしい」とアーカイブ事業を担当する川窪伸光教授に相談。写真愛好家でもある川窪教授は「こんな素晴らしい作品を寄贈してもらえるならお願いしたい」と快諾した。

 今年6月、使用権を大学側に移譲し、学術、教育、社会貢献に活用するという契約書を交わした。フィルムは湿度管理ができるケース3台で保管している。アーカイブ・コア学芸員で岐阜大学大学院生の塚原一颯さん(27)が、フィルムの状態を確認し、汚れなどを落としながら、最高の画質で読み取り、デジタル化の作業を進めている。

 後藤さんは「長良川のことを後世に残すことができホッとしている。私の写真が少しでも何かの役に立てばうれしい」と話す。現在も撮影を続けながら、撮影日時や場所、状況などを詳しく記録しデータベースにまとめる作業をしている。

 後藤さんの写真の一部は来年3月、「木曽三川」をテーマに岐阜大学で開かれるシンポジウムに合わせて展示される予定だ。

 川窪教授は「学術的な価値だけでなく、芸術作品としての写真が融合することにより、様々な分野で活用が可能になる」とアーカイブの意義を語る。

 アーカイブ・コアは、毎週一定の曜日、時間に見学できる。事前申し込み不要で無料。スケジュールなどの問い合わせは岐阜大図書館総務係(058・293・2184)へ。(松永佳伸)