海のギャングがくるくる回る 珍しい天日干し「人がやらないことを」

笠原雅俊
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 海のギャングが師走の潮風にクルクル回る――。高知県土佐清水市の窪津漁港でウツボの天日干しが最盛期を迎えた。着物をつるしているように見える光景は冬の到来を告げる。

 イカや魚などの天日干しはよく見かけるがウツボは珍しいという。地元に住む佐野芳夫さん(71)が、定年退職後に始め、もう10年になる。同漁港では佐野さんを含めて2人がウツボを干す。「人のやらないことをしようと始めました」

 佐野さんは日の出前に船で海に出てウツボをとる。海のギャングと言われるが、氷水に放り込むとおとなしくなるという。体を割き、塩を塗って水で洗うのがうまくなる秘訣(ひけつ)だ。

ウツボは焼くか唐揚げに

 潮風を受けやすいように長さ約1メートルのウツボに竹串を横に刺して身を広げて2日間、干す。多い日には1日に100枚。風が強い日は風車のように激しく回る。「晴れて寒い日に激しく回るほどおいしくなる」。焼いたり、唐揚げにしたりして味わうという。

 ウツボの天日干しは漁港の直販センター「大漁屋」で100グラム当たり150円前後で販売するほか、口コミで注文が広がっている。「コロナ下の今、注文が増えている。生産が追いつかないよ」と佐野さん。天日干しは2月ごろまで続く。潮風に揺れるウツボの身はトラの模様に見える。新しい年は寅(とら)年だ。(笠原雅俊)