ロシア、ドイツ外交官2人を国外追放 殺人事件の判決巡り独ロが対抗

モスクワ=喜田尚、ベルリン=野島淳
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 ロシア外務省は20日、駐ロシアのドイツ大使を呼び出し、同国外交官2人の国外追放処分を通告した。同省は2年前にベルリンで起きたジョージア国籍の男性(当時40)の殺害事件にロシア当局が関与したとするドイツの裁判所の判決を強く批判。外交官追放は、判決を受けてロシア外交官2人を追放したドイツ政府への対抗措置だとしている。

 ロシア外務省は発表文で「今後我々に対しドイツがとる対立的な言動に対しても必ず相応の手段で対応する」と強調。事件をめぐりドイツがさらなる対抗措置をとらないよう牽制(けんせい)した。

 事件は2019年8月に発生。ベルリン中心部の公園で白昼に男性が射殺され、ロシア人の男(56)が逮捕された。男は殺人罪などで起訴され、ベルリンの裁判所が今月15日に終身刑を言い渡した。判決はロシア連邦保安局(FSB)が被告に偽の身分証明書や資金を提供し、殺害を命じたと結論づけた。

 殺害された男性はチェチェン独立派関係者とされ、ロシア外務省は20日の発表文で男性を「テロ組織の指導者」とする一方で、「ロシアの国家機構が殺害に関与したとする非難は根拠がなく、現実離れしている」などと判決を批判した。

 ドイツ外務省は判決直後、事件を「ドイツの法と主権に対する重大な侵害だ」としてロシア外交官2人の国外追放処分を発表。20日のロシアの措置に対し「驚きはないが、完全に不当な措置だ」との報道官声明を出した。(モスクワ=喜田尚、ベルリン=野島淳