消毒、電話対応、プリント作り…先生の負担減へ 支援員1万人に拡充

桑原紀彦 三島あずさ、阿部朋美
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 教員の働き方改革の一環として、公立の小中学校で資料作成や授業の準備を担う教員業務支援員(スクール・サポート・スタッフ、SSS)について、政府は来年度、今年度より約1千人増となる1万650人を確保する方針を固めた。関連費用45億円を、来年度予算案に計上する。

 SSSは、長時間労働が問題化している教員の負担軽減を目的に、政府が2018年度から費用の3分の1を補助する形で事業化。今年8月には学校教育法施行規則の改正で法的に制度化され、教職をめざす学生や卒業生の保護者らが非常勤職員として、学習プリントや家庭への配布文書の作成、採点業務の補助、来客・電話対応などにあたってきた。

 新型コロナウイルス対応の消毒作業なども担うようになり、今年度は初年度の約3倍の9600人分(39億円)が確保された。文部科学省によると、SSSが配置された学校では、教員1人あたりの労働時間が18年度比で週2・45時間減ったという。

 ただ、予算上では小中学校の3割強にしか配置されておらず、文部科学省は来年度予算で小規模校を除く全校に配置できる103億円(2万4300人分)を概算要求。1万650人分にあたる45億円が盛り込まれることが固まった。(桑原紀彦)

「業務負担、大幅に減った」

 スクール・サポート・スタッフ(SSS)は、どのような業務を担っているのか。

 東京都は昨年度、国の補助金を含む約27億円をかけて、市区町村立の小中学校の8割超にあたる1584校で、1633人のSSSを採用。活用事例集をホームページに掲載している。

 裁縫の指導で使う工程別見本の作成や、教材をラミネート加工してマグネットをつけるなど、SSSが手がけた事例を写真付きで紹介。また、SSSへの効率的な業務依頼や、業務の進み具合を可視化するための工夫なども例示している。

 今年度、2人のSSSが配置されている関西地方の小学校の校長は「教員の業務負担が大幅に減った」と話す。児童に配るプリントの印刷や、授業で使う道具の準備などを依頼。「非常に助かっている。もっと多く配置してほしい」という。

 SSSの導入が、教員の業務の見直しにつながるという声もある。

 名古屋市の丸山瞬さん(34)は昨年の1学期に1カ月間、市立小学校でSSSとして働いた。新型コロナによる一斉休校が明けた時期で、主に校内の消毒業務にあたったほか、「整理収納アドバイザー1級」のスキルを生かし、業務効率化のために職員室などの片付けも手伝った。

 丸山さんは昨年3月まで7年間、小学校の教員だった。現職時代、勤務校にSSSはいなかった。児童の作品の掲示や、それを外す作業、テストの丸付けの補助、プリントの印刷など、教員以外でもできる作業は数多くあると感じていた。

 教員は「あれもこれも」と仕事を抱えがちだが、負担感や心の余裕は、子どもたちへの接し方にも大きく影響すると実感してきた。「掲示の作業をやろうと思っていたら子ども同士のけんかが起こるなど、教員の仕事は突発的な対応の連続。『あと1人いれば』と思う場面が多々あった」という。「SSSに『教員以外でもできる仕事』を振り分けることで、教員が本来の『教員の仕事』に目を向ける効果もあるのでは」と話す。

なり手不足の自治体も

 一方で、予算や担い手不足に悩む自治体もある。

 〈【急募】スクール・サポート・スタッフ〉

 兵庫県西宮市はホームページにこう掲げ、担い手を募集している。市内の小中学校、高校、特別支援学校の63校すべてに配置をめざすが、4校で確保できていないという。市教委によると、昨年度は県の補助金を利用して全校に配置したが、今年度は県の予算がつかなかった。しかし、学校現場は消毒作業など、コロナ禍で新たに生じた負担が解消されていない。「SSSの配置が欠かせない」として、9月に市独自の予算を計上した。担当者は「現場ではSSSのニーズが大きい。国や県の補助を手厚くしてほしい」と話す。(三島あずさ、阿部朋美)

【スクール・サポート・スタッフの業務内容の例】

●学習プリントや家庭への文書などの印刷、配布準備

●シュレッダー(文書の細断処理)

●採点業務の補助

●来客や電話の対応

●学校行事や式典などの準備補助(席札の作成や、衣装・小道具の作成補助など)

●データ入力や集計

●掲示物の張り替え

●新型コロナウイルス感染症対策のための消毒作業

●ホームページの更新

●校舎改築に伴う荷物の整理整頓

(文科省や自治体の資料から)