ソ連崩壊30年、トラウマと欧米への意趣返し 中国の強気への呼び水

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聞き手 論説委員・駒木明義 モスクワ・喜田尚
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 現在のロシアと周辺国はかつてソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)として東西冷戦の一方の極にあり、米国とにらみ合っていたが、ちょうど30年前に崩壊した。ソ連とは何だったのか。それは今のロシアをどう規定しているのか。内外の識者に尋ねた。

大国再建への動き、プーチン前から兆し 宇山智彦さん(北海道大教授)

 ――ソ連とはどのような国だったのでしょう。

 「帝国的な面と多民族連邦的な面を持つ国でした。ここでいう帝国とは、皇帝の国という意味ではなく、住民が地域ごとに非常に多様で、しかも中央集権的な国のことです。ソ連は連邦制でしたが、実際には共産党ががっちりと支配していました」

 ――多くの帝国は崩壊の歴史をたどりました。

 「オスマン帝国やハプスブルク帝国は第1次大戦後に崩れました。ロシア帝国も崩れましたが、レーニン率いるボリシェビキが再統合した。第2次大戦後は欧州諸国が植民地を手放し、日本帝国も倒れる中、ソ連だけは連邦制と国民国家的な統合の方法を取り入れて生き延びた。しかしソ連型社会主義を維持できなくなり、連邦国家としても崩壊を余儀なくされました」

 ――社会主義体制を維持できなくなったのはなぜでしょう。

 「計画経済というやり方が後発国の一時的な急成長には役立ちましたが、その後の技術革新にはついていけなくなった。国際的には、社会主義陣営の中でも中ソ対立などで全体をまとめることができなくなりました。超大国には同盟国のような支える国々が必要で、それが十分な数を維持できなくなった。また同盟国とされる国々も、本当に喜んで従っていたとは限りません。きっかけがあれば崩れるのは不可避だったでしょう」

宇山さんはこの後、ロシアを含む大国による今後の武力衝突の可能性についても言及します。記事後半では、ドミトリー・トレーニンさんが、ナショナリズムの観点から旧ソ連を論じます。

 ――ロシアは今、再び帝国に近づいているように見えます。

 「そもそもロシア自身の判断…

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2021年12月22日22時15分 投稿

    【視点】 2人の識者ともソ連と現在のロシアの関係(連続性と断絶性)について興味深い見方を示しています。私は2人とは別の切り口からソ連と現在のロシアについて考えています。  まず、ソ連は連邦国家ではなく帝国でした。帝国は通常、宗主国と植民地を持ちま

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2021年12月22日9時38分 投稿

    【視点】先日の米ロ会談後もロシアによるウクライナ国境への部隊配備は続き、緊張は高まる一方です。そうした短期的な情勢の背後にある長期的な構図を考える視点を、日ロ双方の専門家が示してくれるインタビューだと思います。 どちらを読んでも、見通しがまったく