「家庭に戻すのが一番、強まらないか」 児童虐待経験者が抱く心配

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久永隆一
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 子どもの声に耳を澄まし、一人ひとりの健やかな育ちを保障する――。政府が21日に設置を決めた「こども家庭庁」の理想は、新組織を立ち上げるだけで簡単に実現できることではない。子どものSOSを、周りの大人が受け止め、手を差し伸べられるのか。ある女性が受けた児童虐待の経験が、そのことを社会に問いかけている。

 「16歳の私の『助けて』を、大人たちは無視した」

 関東在住の20代の女性にとって、高校1年生だった11年前の失望が、深い心の傷となっている。

 長く母親から虐待を受けた。両親は3歳の時に離婚。母方の祖父母と同居した。2階から悲鳴は聞こえたはずなのに、1階の祖父母は止めに入らなかった。裕福な祖父母は、世間体を気にしたのかも知れない。

「どこからが虐待? 私の場合は?」

 母親はささいなことで激しく…

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    内田良
    (名古屋大学准教授・教育社会学)
    2021年12月22日2時33分 投稿

    【視点】子供の日常の苦悩を、子供目線でたどっていく必要があると、私は強く感じています。 すなわち、大人側があらかじめ用意している社会構造やカテゴリに沿った方法、学校/家庭、文科省/厚労省、教育/福祉、いじめ/虐待といった縦割りの味方ではなく、子供