反対14票、賛成11票――。外国籍住民にも門戸を開いた東京都武蔵野市の住民投票条例案が21日、市議会本会議で否決された。13日に条例案を可決した総務委員会とは逆の結果となった。海外メディアも駆けつけた注目の議場で、各議員が賛否をめぐる思いを語った。(井上恵一朗、高橋淳)
午前10時の開会と同時に住民投票条例案をめぐる最後の審議が始まった。108席ある一般傍聴席は満席となり、報道も20社以上が見守った。韓国や中東メディアの姿もあった。
賛成・反対をめぐる討論では、自民の道場秀憲氏、公明の落合勝利氏が総務委員会の時と同じく、反対を表明。「外国人への投票資格付与には一定の基準が必要」「市民の理解が深まっていない」と理由を述べた。立憲の藪原太郎氏、共産の橋本繁樹氏も委員会に続き、賛成の討論をした。
この日の採決で過半数をめぐるカギを握ったのが、総務委員会に出ていない会派の賛否だった。なかでも中立的な立場を掲げる2人会派の「ワクワクはたらく」はこの本会議で賛否を明らかにすると説明し、動向が注目されていた。
「反対します」
3番目に討論に立った同会派の本多夏帆氏が冒頭に表明すると、議場にざわめきが起こった。本多氏は、外国籍住民を含める是非にばかり議論が費やされたことに憂いを示した。思想的な立場で意見が分かれる提案をするならば、「完全な納得を得られずとも、これだけやりましたと説明する責任がある」と指摘。「多様な意見が出てきたときにそのまま突き進むのが望ましいか」と語った。
正午過ぎの採決から約10分後、松下玲子市長は臨時の記者会見に臨んだ。「周知不足だったという議会の声を重く受け止める。条例を制定したい思いに変わりはない」と再提案に向けて検討を始めると述べた。
「萎縮した議員もいたかも」
「当初は反対側が少数で、否…