外国人の新規入国停止「当面の間」延長 首相、オミクロン株対応
岸田文雄首相は21日の記者会見で、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」対応のために年末まで行うとしてきた全世界からの外国人の新規入国停止などの水際強化措置を、「当面の間」延長する方針を示した。政府が大量に保管する「アベノマスク」を含む布マスクは年度内をめどに廃棄を行うよう指示した、と明らかにした。
記者会見は、臨時国会の閉会に合わせて開いた。
水際強化措置を延長する理由について、首相は「オミクロン株の感染力、重症化リスクなどに関する科学的な評価がいまだ確立していない」と説明。オミクロン株についての情報収集やワクチンの3回目接種の前倒し、経口薬の普及などの対策を取る考えを示した。3回目接種は、医療従事者と高齢者の計約3100万人を対象に、原則8カ月となっている現在の接種間隔を短縮する。
また、国内での拡大を防ぐため、オミクロン株の濃厚接触者に対しては、自宅ではなく、宿泊施設で14日間待機するよう要請することも表明した。
保管費が問題となっている布マスクについて「財政資金効率化の観点からご希望の方に配布し、有効活用を図った上で年度内をめどに廃棄を行う」と述べた。
核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加をめぐり、首相はバイデン米大統領が核兵器のない世界をめざすと明言したと紹介。「大統領との信頼関係を築くことでアメリカ自体も動かすことができるのではないか。対面での首脳会談を模索しているところ。まず信頼関係をつくってそれから(オブザーバー参加を)考えたい」とした。
来年2月の北京冬季五輪に公的な外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」については、与野党から米国などと足並みをそろえて政府代表を送らないよう求める声が相次いでいる。首相は「日本政府の対応としては、いましばらくしっかりと諸般の事情を総合的に勘案して判断していきたい」と述べるにとどめた。
学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で、同省近畿財務局職員の赤木俊夫さんが自死したことについての責任を問う訴訟を、国は妻雅子さんの請求を認める「認諾」の形で終結させた。首相はこの判断について、「14日に財務省から報告を受け、損害賠償責任を認めることを承知した」と語った。
また、雅子さん側が提訴している別の訴訟について丁寧に対応すること、様々な場で今後とも真摯(しんし)に説明を尽くしていくことを財務省に指示したと説明した。
通常国会は来年1月17日に召集される見通しで、会期は150日間。来夏の参院選を控え、首相の政権運営の是非が厳しく問われることになる。(永田大)
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