外国人入国再停止、企業の人手不足に拍車 実習生頼り

新型コロナウイルスオミクロン株

重政紀元
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 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」流行への懸念で外国人の入国が再停止してから3週間が過ぎた。少子高齢化で国内での人材確保は難しくなっており、人手不足に苦しむ企業に追い打ちとなっている。県内でも「今の状況が続けばもたない」との声が漏れる。(重政紀元)

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 鉄骨造建築物の骨組みに使う鋼材「胴縁」の加工で、全国トップクラスの松山鋼材(旭市)。

 「人手が足りず、せっかく依頼のあった仕事を断らざるを得ない状況だ」。向後賢司社長は肩を落とす。25年前からインドネシア人の技能実習生を受け入れ、今年1月段階で36人いたが、現在は21人に減った。

 実習生が働けるのは原則3年間。期限が来たら帰国する。一方、入国制限から新たな受け入れができない。入国禁止前に年明けと決まっていた12人の受け入れは、当面延期になった。つてをたどって国内で職場を失った実習生を受け入れているが、追いつかない。

 「いくら日本人に募集をかけても(きつい・汚い・危険の)3K職場だと嫌われて集まらない。インドネシアの若者は皆まじめに働いてくれる。うちだけでなく、外国人労働者は日本の鋼材加工業に欠かせない存在だ」(向後社長)

 現在、東京五輪関係の工事優先でストップしていた物流倉庫などの建設が相次いでおり、全国から発注が入る。だが人手不足により、依頼件数の半分を断る時期もあるという。

 来年4月から年末に実習生は16人が帰国予定だ。向後社長は「このまま労働力が先細りすれば業界として成り立たなくなる。コロナ禍の期間だけでも、日本で働き続けたい技能実習生については、上限期間を延長して働くための手続きを緩和してほしい」と訴える。

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 注文住宅の設計・施工を行うフレスコ(千葉市)は外国人の「社員大工」を養成するスタートにしていたベトナム人男性2人の来日が止まったままだ。

 住宅会社の間では大工の奪い合いとなっている。「親方に弟子入りして技術を身につける」という育成方法が嫌われ、新たな担い手が少なくなっているからだ。住宅会社は建築ごとに大工と請負などの形で契約を結ぶことが一般的で、大工の確保ができなければ工事はできない。

 対応策として、同社は2年前から自社で雇用したうえで、技術養成する社員大工の採用を始めたが、これも難航している。これまでに6人を採用できたが、今年度はゼロだった。

 「5年後の県内シェアナンバーワン」の目標達成には大工の確保は不可欠。そこで新たに考えたのが外国人大工の養成だ。働ける期間に制限がある技能実習生ではなく、社員として雇用。家づくりを時間をかけて学ばせ、そのまま日本で働いてもらう計画だった。

 昨秋にベトナムで面接を行い、60人から2人を選抜。この2人をリーダーとして養成し、今後毎年ベトナム人社員を受け入れていく目算だったが、長引くコロナ禍は想定外だった。

 現在、同社が契約を結ぶ大工の平均年齢は55歳をこえる。「単なる労働力ではなく、将来は希望に応じて設計や管理にも道を開くつもりで受け入れを決めた。いま養成を進めなければ5年後には現在のペースでの家づくりはできなくなる」(宮応博明常務)

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 出入国在留管理庁によると、入国する外国人は2019年約2800万人▽20年約358万人▽今年(6月末段階)約5万5千人と激減した。

 技能実習生として滞在する外国人も、今年6月末現在約35万4千人で、19年末から14%減。入国者は19年約19万人▽20年約9万人▽21年(6月末段階)約2万5千人と減っている。

 14年から外国人材の研修などで顧客の人材確保をサポートしてきた千葉興業銀行によると、「事業縮小などで企業が手放した国内にいる実習生は獲得競争になっている」(笹月猛志上席調査役)という。影響は製造業だけではなく、介護、農業など幅広い。

 外国人材の募集・育成を行う都内の人材サービス会社の幹部は「オミクロン株の騒動が収まっても新型コロナの問題は今後も続き、ある程度のところで外国人の受け入れは始めざるを得ない。手間もコストもかかるが、入国後の14日間の隔離を厳格に行うなどして、受け入れをするべきだ」と話す。

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