真下に横断歩道があるのに 歩道橋あふれる徳島市、誰が?何のため?

有料会員記事

福家司
[PR]

 なんでこんなに歩道橋が多いのだろう――。1970年、大阪府池田市から徳島市に引っ越してきた小学生だった記者は、子ども心にとても印象深く感じたことを、今も思い出す。5年ほどで徳島を去ったが、2017年に赴任し、42年ぶりに3年間暮らした。半世紀前からの素朴な疑問を解き明かそうと取材した。

 道路を管理する国や県、徳島市によると、市内の歩道橋は44カ所で、県内全体の半分近くを占める。人口1万人当たりの橋数は、数が公表されている政令指定市(20市)と比べても、トップの神戸市に次ぐ位置だ。中心部に集中しており、JR徳島駅の南側を東西に走る国道には、わずか約3キロに12カ所が連なる。さながら「歩道橋銀座」だ。

 造られた時期は、1960~70年代がほとんど。徳島河川国道事務所の佐川耕三・道路管理第一課長は「当時の詳しい事情はわからないが、交通量が急激に増加し、事故も激増していた時代。70年には交通安全対策基本法が制定され、歩行者保護のために設置されたのではないか」と推測する。

 一方で、徳島市は地下水位が高く、地下道を作りにくかったから歩道橋が多くなったとの説も耳にする。

 それにしても、なぜこんなに集中して架けられているのか。徳島市徳島本町にある歩道橋の近くで50年以上、兄弟で理髪店を営む山本隆敬さん(77)、善弘さん(69)は「徳島は川の町で、市民は橋を渡ることに慣れている。県内には橋梁(きょうりょう)メーカーが多く、歩道橋も橋の一種だから、たくさんできたのでは」と口をそろえた。確かに、徳島駅や市役所がある市中心部は川に囲まれた「中州」。「ひょうたん島」と呼ばれ、どれかの橋を渡らないと、出入りできない。

 県内の有名橋梁メーカー、アルス製作所(小松島市)の宮本新也・総務部長が取材に応じてくれた。「県内には橋梁メーカーが5社ほどあり、他県と比べて明らかに多い。歩道橋も橋だから施工は似ている」。一方で、「正直、歩道橋はもうからないし、すでにある道路に造る時は交通規制など手間がかかる。業界では押し付け合いだ」と苦笑する。

 同社は2005年に市内の歩道橋を架け替えたというが、「施工は橋より簡単そうに見えるが、(上から見ると)ロの字形の歩道橋は橋よりむしろ難しい」。そして、「近年も県内で小学校の近くに歩道橋を施工した。設置のきっかけは、ほとんどが子どもの安全を守るためではないか」とみる。

 半日かけて、10カ所ほどの歩道橋を回ってみた。いくつかの歩道橋には、高低2本の手すりが付いていることに気づいた。徳島河川国道事務所によると、低い方は子ども用の手すりだという。

「撤去してほしい」が多数、でも……

 徳島駅近くで不思議な光景を…

この記事は有料会員記事です。残り875文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【無料会員限定】スタンダードコース(月額1,980円)が3カ月間月額100円!詳しくはこちら