構えず話そう 多様化する差別にどう対応? ヒント求めて徳島へ

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小若理恵
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 部落差別の解消をめざし各地で盛んだった「同和教育」が、「人権教育」に姿を変えている。SNSによる誹謗(ひぼう)中傷や、新型コロナウイルス感染者への嫌がらせなど、人権侵害の形や種類が多様化。ジェンダーや不平等など「持続可能な開発目標(SDGs)」の視点からも克服すべき課題が多くある。解決のヒントを求めて徳島県の学校を訪ねた。

 「かなちゃんのお姉さんコロナらしいよ」

 「じゃあ、あんま近づかない方がよくね?」

 朝、登校してきた女子生徒の背後で、クラスメートがうわさをする。でもそんな生徒ばかりではなく、隣の席に座る別の子は床に落ちたペンを拾い上げ、女子生徒に渡してあげる――。

 徳島県立徳島北高校・放送部の生徒が作った30秒の啓発CMだ。タイトルは「本当の敵」。身近な人が新型コロナに感染したら、周囲の反応はどう変わるのか。ふとした言動で人を傷つけていないだろうか。作品は昨年度、県の「若者発!人権啓発映像コンテンツ」で優秀賞に選ばれた。

 同校放送部はアナウンスや朗読だけでなく、映像作品の撮影や編集にも取り組む。今年度は性的少数者や子どもの人権などをテーマに5本のCMを作った。

 幼いころからスマホが身近にあるZ世代。1年の榮伝心(さかえてんしん)さん(16)はLINEのやりとりで、友だちとけんかになったことがある。好きなサッカー選手のことを「かっこよくない」と言われ、腹を立てた自分。でも、友だちは「かっこよくない?」と同意を求めたつもりだった。この体験と似た場面を今年度のCMに再現した榮さん。作品に「僕と同じようなことが起きないように」との思いを込めた。

 「学校では男子がズボン、女子はスカートが当たり前。それって変だよね」。部員たちの間ではこんな会話が日常的に飛び交う。最近のテレビドラマに描かれる恋愛観や家族観の変化、報道が増えたヤングケアラーの問題などにも敏感だ。顧問の小川真理子教諭(48)は「身近な差別や偏見について、構えることなくみんなで話し合える雰囲気が先輩から後輩に受け継がれている」と話す。

 放送部員だけが特別なのではない。

同和教育と人権教育

被差別部落の子どもの就学と進路を保障し、差別の解消をめざす目的で戦後、西日本を中心に「同和教育」が盛んに。2000年に人権教育および人権啓発の推進に関する法律が制定され、「人権教育」と名を変えて発展。一方、02年に同和対策の根拠となる地域改善対策財政特別措置法が失効後は各地の取り組みに温度差が生まれたとも言われています。

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