郵便局長705人、顧客情報の流用など申告 自民候補の得票増狙いか

藤田知也
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 多くの郵便局長が顧客情報や経費で買ったカレンダーを政治流用した疑いが出ている問題で、日本郵便は22日、全国で計705人の局長が情報流用などを申告したと発表した。全国郵便局長会参院選で擁立する自民党公認候補の得票につなげようと、郵便局の顧客情報の悪用が横行していた疑いが強まった。

 全国の局長を対象にした13~16日のアンケートの回答を集計した。当初は1246人の局長が流用などを申告したが、500人超が撤回した。2018年度以降、顧客情報を無断で郵便局長会の支援者名簿に記したことがあるとの回答は74人▽顧客情報を使って政治活動の戸別訪問をしたと答えたのは257人▽営業での訪問時に政治活動の支援依頼をしたとの回答が130人▽局内で顧客に政治活動の声かけや支援依頼をしたとの回答が363人、など。カレンダーを政治活動に使ったと答えた局長は119人だった。

 顧客を標的にした政治活動の指示は、朝日新聞が入手した複数の地方郵便局長会の資料などに記されていた。接客や営業に合わせて支援者を物色するよう求める内容で、日本郵便もそうした指示を確認。専門家から「情報漏洩(ろうえい)や目的外利用が疑われる」との指摘が出ていたが、局長会幹部らは「顧客情報の流用はない」と否定していた。

 今回のアンケートは局長自身の流用などの申告を求めるだけで、情報流用などを促した幹部らの指示については尋ねていない。朝日新聞の取材では、顧客情報を政治活動に利用していても正直に申告しなかった局長がいる。また、情報流用を申告した局長にコンプライアンス担当社員が連絡し、回答期限前に申告を撤回させた例が多く、調査の公正さを疑う声が出ている。

 全国郵便局長会は約1・9万人の旧特定郵便局長らでつくる任意団体。参院選では組織内候補を擁立し、元会長が再選した一昨年は比例当選トップの60万票を獲得。来年の参院選には前副会長を候補者として立てる方針だ。(藤田知也)