「千人計画」参加のハーバード大教授に有罪 米連邦地裁の陪審団

ニューヨーク=藤原学思
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 中国の大学からの資金提供を米当局に故意に隠したとして、虚偽陳述や税の虚偽申告など六つの罪に問われたハーバード大教授に対し、米ボストンの連邦地裁の陪審団は21日、全てで有罪の評決を言い渡した。教授は、優秀な研究者を中国に呼び込む中国政府の「千人計画」に参加していた。量刑は裁判官が今後言い渡す予定だ。

 有罪となったのは、同大の化学・化学生物学部長だったチャールズ・リーバー被告(62)。ナノテクノロジー分野の世界的権威で、ノーベル化学賞候補に名前が挙がったこともある。だが、2020年1月にこの事件で逮捕されてからは有給休職中となっている。

 検察側によると、被告は11年、中国・武漢理工大のポストを得た。同大で教授を務めるハーバード大の元教え子からの依頼だった。それから半年も経たないうちに、「千人計画」に選ばれたことを元教え子から知らされた。

 被告は12年7月ごろに武漢理工大側と3年間の契約を締結。契約は、同大の学生や研究者を指導したり、共同研究を進めたりする代わりに、月5万ドル(約570万円)の給与や最大15万ドルの生活費を受け取る内容だった。被告は12~14年に4度、同大を訪れた際に現金を受け取り、現地の金融機関で口座を作っていた。

 被告は米国で、国防総省や国立衛生研究所から1500万ドル以上の助成金を受け取っており、外国からの資金提供は申告する義務があった。だが、18年の当局の調査に対し、大学を通じて「千人計画」への関与を否定。また、確定申告には武漢理工大からの給与を含めず、口座情報も伝えなかったという。

 「千人計画」は参加だけでは罪に問われないが、米司法省は技術盗用や情報漏れにつながるとして目を光らせ、米国の多くの研究者を摘発してきた。司法省によると、起訴した経済スパイ事件の約8割、企業秘密の盗難事件の約6割は中国と関連があるという。

 一方、スタンフォード大やカリフォルニア大バークリー校、プリンストン大の教職員らは、中国系研究者が差別的に扱われ、米国の学術界全体にも悪影響があるとして、米連邦政府が中国への技術盗用などを監視する「チャイナイニシアチブ」に懸念を示す書簡を送っている。(ニューヨーク=藤原学思