米FRB、進む金融緩和の縮小 「日本化」の恐れは去ったのか

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ワシントン=青山直篤
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 米国の金融政策を決める連邦準備制度理事会(FRB)に大きな影響を与えてきたのが、「低金利、低インフレ、低成長」の停滞が長く続く「日本化」への恐れだ。コロナ禍による劇的な経済の構造変化で、いま米国は数十年ぶりとなるインフレの波に見舞われ、FRBは経済引き締めへと動く。「日本化」の恐れはもう去ったのか。

あおやま・なおあつ 1981年生まれ。朝日新聞デジタルで、グローバル化と民主主義のありようを探る企画「断層探訪」を連載中。

 「後れを取ったとはみていない」。12月15日の連邦公開市場委員会(FOMC)後のオンライン会見で、インフレ(物価上昇)について認識の甘さを問われ、FRBのパウエル議長は強弁した。内心の揺らぎをいささかも表さないよう、慎重に言葉を選んでいるように見えた。

 FRBはインフレを踏まえ、この日のFOMCで、11月に始めたばかりの「量的緩和の縮小」を加速させることを決めた。私は会見で、ぜひ尋ねたい質問があった。

 「『日本化』への恐れからデフレのリスクにこだわるあまり、インフレのリスクを過小評価したのではないか」。そんな問いだ。

 会見がまだ対面で開かれていた2019年10月30日、FOMCで利下げを決めたパウエル氏に、私は「米経済も、低インフレ・低金利が長引く『日本化』のわなにとらわれているのか」と尋ねた。パウエル氏は「我々が著しい低インフレの圧力から免れているとは思っていない」と答え、続けた。「我々が見てきたのは、低インフレの道筋に入ってしまった他国が、そこから抜け出すのは極めて難しかったことだ。我々はこのリスクをきわめて真剣にとらえている」。日本化への強い懸念がにじんでいた。

 私はこのやりとりも盛り込み、20年1月下旬に朝日新聞デジタルで「『日本化』におびえる米国 金融政策は手詰まりなのか」という記事を書いた。パウエル氏の懸念は、直後の20年3月、思いも寄らない形で現実味を帯びる。世界大恐慌以来の経済収縮を引き起こしたコロナ危機だった。FRBの動きは速かった。3月に2度の臨時のFOMCを開き、ゼロ金利や量的緩和政策を直ちに導入した。金融危機を食い止め、「低インフレの道筋」に入り込むのを何としても防ぐ。その強い意思を示し、米経済はその後、当初の想定よりも力強い勢いで回復した。パウエル氏がちゅうちょなく動けたのは、バブル崩壊後の90年代以降の日本や、08年のリーマン・ショック後などの緩和策の先例があったためだ。

 リーマン・ショック後、当時…

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