第4回再エネ100%の家へ、攻めのアイテム続々 薪ストーブに魅せられて

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斎藤健一郎
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 まさか自分の人生に、薪(まき)で頭がいっぱいになる時が来ようとは、これまで思いもしなかった。

 梶原(かじはら)建築の梶原高一さん(41)をはじめとする多くの人の手によって、築40年の無断熱の空き家は日本でもトップレベルの断熱・気密性能を持つ家に生まれ変わった。断熱性能を示すUA値は0・29。窓際でも寒くなく、結露もなく、居間も玄関も浴室も温度差がほとんどない。弱点ないない尽くしの家。2050年のカーボンニュートラルを掲げた政府目標より30年早く、再生可能エネルギー100%の実現をねらう「ほくほく」城の守りは固まった。次は攻め、住宅設備である。

廃材でもクギ付きでも燃やせる薪ストーブ探し

 最初に検討したのは薪ストーブだ。

 どの薪ストーブを選ぶのか。専門雑誌や特集ページを眺めるだけでもわくわくした。木を燃やして暖を取るだけのシンプルな道具と思えた薪ストーブにも、用途や目的でさまざまな種類やスタイルがあるからだ。ケタが一つ違うのではないかと二度見してしまうような外国産の高級品から、全国のホームセンターで安価に買える大量生産のものまで、豊かな奥行きのある世界が広がっている。

 選んだのは地元・山梨県の鉄工所「岡部工業所」(大月市)の薪ストーブだ。

 薪ストーブは、ステンレス製や鋳物製など使う素材によって、安価だったり蓄熱性が高かったりと、さまざまな特徴がある。僕は鋼板製を選んだ。「ほくほく」の床や壁を壊すときに、たくさんの廃材が出た。捨てればただのゴミになってしまうが、ストーブにくべれば熱エネルギーとして使える。鋼板製の薪ストーブならばネジやクギがついたままの木材でも気にせず燃やせるのが気に入った。

 何より、岡部工業所の佐々木俊夫さん(61)の人柄が決め手になった。見学を申し出ると、「どうぞ、どうぞ」と僕を迎え入れ、自宅の薪ストーブで火を燃やしているところやストーブをつくる工場のすみずみまで、丁寧に案内してくれた。工場は鉄色一色。迫力満点である。かつてアマチュアながらミュージシャンとしてロックに魂を注いでいたベーシストの佐々木さんが、今は寒風忍び寄るここで火花をちらし、ストーブ一台一台に魂を吹き込んでいる。

SDGsもカーボンニュートラルもじぶんごと。誰もが当たり前に使っている電力会社の電気やガス、灯油といったライフラインを自ら断って、太陽光、太陽熱、薪の再生可能エネルギーで暮らしを成り立たせたい。節電道に踏み入ってもうすぐ10年の記者が八ケ岳南麓で真剣に、楽しく、時にちょっと苦しみながら挑戦するエコハウス「ほくほく」プロジェクトの話です。

 薪ストーブは本体以上に煙突…

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