マレーシアで洪水、6万人超が避難 日系企業に影響も

シンガポール=西村宏治
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 マレーシア各地で大雨による洪水が発生し、家を追われた避難者が22日時点で6万人を超える事態になっている。避難所に被災者が集まり、新型コロナウイルスの集団感染が起きる恐れも出てきた。

 マレーシアでは18から19日にかけて猛烈な雨が続いた。国営ベルナマ通信によると、首都クアラルンプール周辺のセランゴール州では、地域によって1日300ミリ超の降水量を記録。ふだんの1カ月分に相当する量だった。

 これにより洪水や地滑りが発生。警察によると、これまでに27人の死亡が確認された。政府の災害対策部門によると、22日正午時点で1万4930世帯の約6万4500人が避難した。マレー半島中部のパハン州やセランゴール州での避難者がほとんどだ。

 同州のアミルディン州首相は21日の記者会見で「雨量が想像を超えていた」などと準備不足について釈明したうえで、被災者の救援に全力を挙げると述べた。

 大半の被災地域では22日までに水がほぼ引いたものの、家屋に流れ込んだ泥などが残っており、復旧には時間がかかりそうだ。

 セランゴール州で食事の配給などの救援活動をしている映像作家のマヒ・ラマクリシュナンさん(52)は22日、朝日新聞の取材に「着の身着のままで避難した人がほとんど。食事、衣服、毛布、コンロなどあらゆるものが不足していて、ひどい状況だ」と語った。

 一方、被災者が集まることになった避難所では新型コロナの集団感染の懸念が出ている。カイリー保健相は20日の記者会見で、避難所で181人の陽性者が見つかったと説明。「被災者を救うことが最優先で、保健衛生上の対応が十分できていない」と危機感を示した。

 洪水被害が広がったセランゴール州は、工場の集積地としても知られる。同州に2工場を構えるトヨタ自動車は18日に稼働を停止したが、工場への浸水被害はなく22日に操業を再開した。ただ、稼働率については従業員の通勤や部品の納入の状況を見ながら、調整していくという。

 パナソニックの現地法人も20日、掃除機などをつくる工場が被害を受けたと発表した。影響を見極めるのに1週間程度かかるとしている。このほか電子部品メーカーの工場などで被災の報告が相次いでおり、同地域から部品などを仕入れている海外企業の生産計画が影響を受ける可能性も出ている。(シンガポール=西村宏治