フジファブリックの名曲、駅の電車接近音に 亡き志村さんの出身地で

佐藤靖
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 夏の終わりの風景や心持ちを淡々と歌ったロックバンド・フジファブリックの「若者のすべて」が22日から、富士急行下吉田駅で電車の接近を知らせる音楽として使用が始まった。12年前に亡くなったボーカルの志村正彦さんは山梨県富士吉田市の出身。中学の同級生だった同社員が、ふるさとの駅に音響を残すために動いた。

 志村さんは吉田高校卒業後、上京し、フジファブリックを結成した。ボーカルとギター、作詞作曲を手がけたが、2009年12月、29歳の短い生涯を終えた。

 残された楽曲は幅広い世代に評価されている。ふるさとを舞台にした曲も多く、地元への愛着が感じられる。代表曲の一つ、「若者のすべて」は、来年度、高校音楽の教科書に採用されることになった。

 同市では、2012年から志村さんの誕生日(7月10日)と命日(12月24日)の前後に防災無線でフジファブリックの楽曲を流したり、地元の高校生が広く発信したりする活動が続いている。こうした動きに同社も何か関われないか検討を重ねてきた。

 同社事業部の渡辺千春さん(41)が2年前に志村さんを取り上げたテレビ番組に感動し、駅を通じて多くの人に楽曲を届けたいと声を上げた。

 渡辺さんは、志村さんの両親に会い、思いを伝えたり、所属事務所や音楽会社などから許可を得たりしたという。

 この日の式典では、接近音の紹介とともに、駅に志村さんのパネルが掲示された。また、1月10日まで車内の中づりポスターと、楽曲をイメージしたヘッドマークがついた電車を走らせる。パネルをデザインしたデザイナーの柴宮夏希さん(42)はデビュー前からジャケットのデザインを担当するなど交流があった。柴宮さんは「紡ぐがテーマだった。みんなの志村への思いが形になった。亡くなってから曲の良さに気づいてくれて応援してくれる思いが大きくなったのかな。志村よかったね」と語った。

 渡辺さんは「長い年月がかかったが、多くの人の協力で実現できてうれしい。志村を忘れてほしくないし、ここに来て元気になってほしい」と喜んだ。

 この日から、河口湖方面行きに「若者のすべて」が、大月方面行きには代表曲の一つ「茜色の夕日」が流れる。(佐藤靖)