NISAで増える投信 信託報酬に「落とし穴」 金融庁が改善要求
西尾邦明
低コストだと思って買った投資信託が、実はそうではなかった――。そんな事態を招きかねない投信の運用手数料のわかりにくさが問題になっている。「信託報酬」という同じ名前で手数料が示されているのに、その中身が投信ごとに違い、追加の費用がかかるものもあるためだ。金融庁も投資家の誤解を招くとして、業界に改善を求めている。
「信託報酬に含まれる費用項目は各社で同じだとずっと思っていた。投資家にとっては衝撃の事実です」
投資歴20年以上という、東京都内に住む自営業の40代男性はそう話し、驚きを隠さない。老後資金のために毎月2万円ほどの投信を積み立て購入している。そのうち約半分は、株式指数に連動するインデックス投信で、運用会社に支払う信託報酬を見比べ、なるべく安いものを選んできたつもりだった。だが数カ月前、信託報酬だけを比較しても意味がないことを初めて知り、驚いたという。
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