「ゾンビ復活」を生む衆院選の仕組み わかりにくい意義と政党の責任

有料記事2021衆院選

稲垣直人
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 今秋の衆院選では、「比例復活」当選への批判が相次いだ。小選挙区比例区に重複して立候補すれば、小選挙区で落選しても、一定の条件下で比例区で当選できるこの仕組み。政治学者の日野愛郎さんは民意を反映する制度と評価しつつも、問題点もあり、見直しを検討すべきだと主張する。「ゾンビ復活」は是正できるのか、話を聞いた。

 ――衆院選では与野党ともにベテラン議員の比例復活が相次ぎ、ゾンビ復活批判が今まで以上に聞かれました。

 「投開票日の夜、開票結果を速報するテレビを見ていたら、『小選挙区で落選』と報じた候補がその数時間後、『比例では復活』と次々に流していましたね。同じ選挙区の候補が最終的に全員当選といったことも京都1区などで起きました。有権者が釈然としないのは理解できます」

 ――比例復活できないように、重複立候補自体を廃止すべきだとの声もあります。

 「私は重複立候補は基本的に良い制度だと考えています。『ゾンビ復活』はもちろんですが、『比例復活』という言葉すら公職選挙法などで定められた正式な用語ではなく、メディアの造語が定着したものです。制度上、選挙区当選と比例復活は別々のカテゴリーでの等しい価値の当選で、優劣はないとされます。なのに、そこに正統性を感じない有権者は多い。こうした事態の責任の一端は、政党にもあると思います」

 ――政党の責任ですか。

 「自民や立憲民主のように重複候補者を立てる党、公明のように立てない党もあるなど、政党の都合で重複立候補を利用したり、しなかったりと対応が分かれています。このことが、重複立候補制度の意義を分かりづらいものにしています」

 ――政治家が、選挙区当選と比例復活に優劣を付けるような話もよく聞きます。

選挙区と比例区の重複立候補は意義があるという日野さん。有権者が納得感を得られる制度にするにはどう見直したらいいのでしょうか。記事後半で解説します。

 「もし政党が重複立候補に意…

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