重機ボランティア千人いれば… 台風被災で人材不足、副住職は動いた

清水康志
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 災害時の復旧作業に役立つ重機やバギーの訓練を受けられ、農業体験もできる民間の「防災パーク」が長野県小布施町にある。災害ボランティアを志す人向けの重機講習も行われ、地域の防災拠点として期待されている。

 この防災パーク「nuovo(ノーボ)」は、東日本大震災を機に発足した支援団体「日本笑顔プロジェクト」代表の林映寿さん(45)が「公に頼り切るのではなく、民間の防災力を高めたい」と昨年10月に開設した。遊休農地を活用した敷地に、ショベルカーなど重機6台とバギー5台を備え、訓練や乗車体験ができる。災害支援車両もあり、災害時にはここから各地に出動する。

 敷地内の畑では収穫体験ができ、災害時用の野菜の生産を兼ねている。施設名はイタリア語で「新しい」という意味。農業と防災を組み合わせた「農防」とかけており、「21世紀型の新アミューズメント」にしたい思いを込めたという。

 開設のきっかけは、長野県も被災した2019年10月の台風19号だった。足場の悪い災害現場で重機を使いこなせるボランティアが足りず、「笑顔プロジェクト」の事業として2カ月後から育成に乗り出した。目標は千人。地元の寺の副住職でもある林さんは、「重機ボランティアが千人いれば、地域の公助を上回る復興力になりえる」と話す。

 学科と実技で2日間の講習を修了すると、小型重機の運転資格が得られる。費用は1人2万円かかるが、県内外から受講者が集まる。講習では経験豊富なスタッフが講師を務め、災害現場での運転のコツや危険性について、実技や映像を交えて教える。

 10月の講習を修了した東京都品川区の会社員矢作知生(ともき)さん(26)は「講習では災害現場での活動も知ることができ、いい経験になった。チャンスがあれば重機を使って復旧に貢献したい」と話した。

 12月中旬までに714人が講習を修了し、3割が女性。すでに重機ボランティアとして活動する人もいる。

 長野県飯山市の住職江沢遠大(とおた)さん(43)は10月、土砂災害に遭った長野県茅野市高部地区の民家で重機を操り、復旧作業に汗を流した。2月に資格をとって以来、県内各地で10回ほど重機ボランティアをしたという。「最初はうまくできるか不安もあったが、やるたびにスキルも上がる。住民に喜んでもらえるのがやりがいです」

 同地区では9月の豪雨で下馬沢川が氾濫(はんらん)し、周囲の住宅や庭に土砂や岩がなだれ込んだ。住民の藤森芳久さん(70)は「下馬沢川の氾濫は(1959年の)伊勢湾台風以来なかった。たまった土砂をみて途方に暮れたが、ボランティアのおかげで助かった。感謝しています」と話していた。

 林さんは「防災パークを訪れて平時を楽しみ、有事に備えてもらいたい」と話す。全国各地に防災パークを広げるのが目標で、7月には重機体験に絞った「nuovoEX」が長野県飯山市と千葉県富里市に開設された。趣旨に賛同した個人や会社が開設したという。清水康志