対立激化、土壇場の岸田首相裁定 診療報酬改定、決着の舞台裏とは

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森岡航平、村井隼人 榊原謙、滝沢卓 久永隆一
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 44兆円余りの国民医療費の行方を左右する診療報酬改定。医師らの人件費などの部分はプラス0・43%の改定幅に決まった。コロナ禍で厳しい経営の医療界を代弁する厚生労働省側と、少子高齢化による医療費増大に歯止めをかけたい財務省側が例年以上に激しく対立。「厚労族」と呼ばれる自民党の議員たちも、岸田文雄首相への直談判に踏み切った。結局、首相の裁定で両省側双方が譲歩するという土壇場での決着となった。その舞台裏を追った。

 改定の交渉が大詰めを迎えた日曜日の19日、首相公邸鈴木俊一財務相と後藤茂之厚労相が呼ばれた。

 両大臣らと話し合いを持つ間にも岸田首相の携帯電話は鳴りっぱなし。「聞く力」を持ち味としてアピールする首相に各方面から改定をめぐって要望や意見が寄せられていたという。悩みながらも「これで」と最後に決めたのは首相だった。

 「プラス0・43%」

 財務省側の「0・3%台前半」と、医療機関側に配慮する自民党の厚労族といわれる議員が主張する「0・5%以上」の中間ともいえる数字で落ち着いた。

 交渉を難しくしたのは、首相自身がこだわる「看板政策」だったとも言える。看護職の賃金を3%上げる財源を、診療報酬で捻出する必要があった。これに菅義偉前首相が進めた不妊治療の保険適用の費用を加えると、切り詰めても0・4%分の押し上げ要因とならざるを得ない。これが交渉で終始、重しとなった。

 財政を取り仕切る財務省は、「(プラス0・55%だった)前回改定では消費税財源も使ったが、今回はそれもない」と、強硬な態度を貫いた。プラス改定に厚みを持たせたい厚労族議員は「(首相が賃上げを)打ち上げておいて、あとはそっち(診療報酬)でやっておいて、では財源のつじつまがあわない。普通は官邸で財源を用意してほしいよね」と嘆いた。

 主張の対立が続くなか、終盤には厚労相経験のある厚労族議員らがこぞって財務省の主計局長を訪ね、異例の面談まで開かれた。

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