「犯罪は社会を映す鏡」 「相棒」元日SP脚本・太田愛さん

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構成・上田真由美
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1月1日放送の元日スペシャル「二人」から
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 20シーズン目が放送中の刑事ドラマ「相棒」(朝日系、水曜夜9時)は、社会問題を取り上げ、世相を反映してきた。小説家でもあり、2022年1月1日の元日スペシャル「二人」(夜9時)の脚本を書いた太田愛さんに、事件から描く社会や、あのキャラクターの決めぜりふについて尋ねた。

 ――「相棒」は社会問題を多く取り上げてきました。太田さん脚本の回でも、ハプニング動画による悲劇(09年「ミス・グリーンの秘密」)や、ヤングケアラーの少年(11年「通報者」)などを描いています。

 そうではないストーリーもあるので、毎回、すごく社会問題を意識して書いているわけではないんです。ただ、一般に、犯罪が「社会を映す鏡」と言われるように、脚本で犯罪を構成していく過程で、自然とそうなっていく側面はあるかもしれません。

 ――事件を解決しても、問題そのものは残るというやりきれなさが強く印象付けられる回もあります。

 一つの犯罪というのは、個別のものでしかないんです。それが生まれてくる背景に、ものすごくたくさんの社会的な要因があります。ですから、仮に一つの事件が解決できたとしても、その背景に横たわっている社会的なゆがみは自分たちの問題であって、根底にあるものは今日も明日も、自分たちが呼吸する空気の中に残る、ということを見た方が感じてくださっているのかもしれませんね。

 ――世の中の問題をいち早く把握するため、どんなアンテナを立てているのですか。

 好きな小説を読むだけでなく、調査報道に基づいたルポルタージュや、オープンデータを元にした社会科学系の本、ドキュメンタリーなどを意識的に読んだり見たりしています。その中で感銘を受けた方のツイッターやブログも見て、日々、何かが起きたときに、この方ならどう考えるかということを広い範囲で見ておくように心がけています。最近では、本田由紀さんの「『日本』ってどんな国?」が、やわらかい語り口で広範なオープンデータを分析した論考で、とてもおもしろかったです。

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 おおた・あい 1964年生まれ。脚本家・小説家。著書に「犯罪者」「天上の葦(あし)」「彼らは世界にはなればなれに立っている」など。現在、「陸奥新報」など5紙にクライムサスペンス「未明の砦(とりで)」を連載中。

 ――小説と脚本の執筆には、大きな違いがあるのですか。

 小説を書き始めるというのは、沖に向かってたった一人でこぎ出すようなところがあります。シナリオの場合は、監督、スタッフの方、俳優さんがいらして初めて作品になる。出演者の年齢に応じた撮影時間帯の配慮や、ロケ現場で雨が降った場合には物語の中でそのシーンの機能は動かさないままでどういうセカンドベスト、サードベストを素早く出せるのかも大切です。そういう、チームの一員としてのお仕事が楽しいですね。

 ――「相棒」は一つのエピソードでのチームだけでなく、脚本家や監督も多くの方が携わられているのが特徴です。

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