秒殺KOに引退会見、ドーピング騒動も 井岡一翔の大みそか11年間
世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王者井岡一翔(32)=志成=が今月31日、大田区総合体育館で4度目の防衛戦を行う。相手は同級6位で日本王者の福永亮次(35)=角海老宝石。
大みそかの井岡と言えば、過去に秒殺KOあり、電撃会見あり、ドーピング騒動ありと、さまざまなドラマがあった。
「その日(大みそか)に自分が試合をやるというのは、うれしかったり、責任感だったり、いろんな気持ちを抱えて上がっている」と話す。
井岡の大みそかデビューは2011年。それまでは立ち技格闘技K1の興行を中継をしていたTBSがこの年から、ボクシング中継にシフト。井岡はメインとして登場し、ヨードグン・トーチャルンチャイ(タイ)に初回1分38秒TKO勝ち。世界ミニマム級王座の2度目の防衛戦に成功した。
12年にはホセ・ロドリゲス(メキシコ)に6回TKO勝ちし、2階級目となる世界ライトフライ級王座を獲得。その後も年の瀬に白星を重ねた。
だが、17年の大みそかはリングに上がらなかった。その日、横浜市内で会見を開き、現役引退を表明した。「(これまで)戦ってきた大みそかの日に思いを伝えたかった」と説明し、その様子はTBSで中継された。
その7カ月後には現役復帰を表明。18年の暮れは、日本ではなくマカオで4階級目となるスーパーフライ級王座決定戦に挑み、1―2で大みそか初黒星。「新年を迎えた感じも、年越しを終えた感じもない。自分だけが取り残された感じ」と振り返る。
19年6月に国内初の4階級王者となった井岡は、その年の暮れに初防衛に成功。20年暮れの2回目の防衛戦では世界3階級王者の田中恒成の挑戦を受けるも、2度のダウンを奪い、8回1分35秒TKO勝利。年間最優秀試合に選出された。
ただ、その試合のドーピング検査で井岡の検体から陽性反応を示し、警視庁からも事情聴取を受ける事態に発展した。最終的に検査を実施した日本ボクシングコミッションが、検査方法の不備により「偽陽性」を引き起こした可能性があるとして、井岡に全面謝罪した。
今年は節目となる10回目の大みそかのリングだ。
当初は国際ボクシング連盟(IBF)王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との2団体統一戦が予定されたが、新型コロナウイルス「オミクロン株」による政府の外国人入国禁止措置により、中止に。代役として、世界初挑戦となる35歳の福永が相手に決まった。
井岡は力を込める。「(相手は)気合も入っていると思うし、試合にかける思いも強いと思う。ぼくはぼくで準備して迎え撃ちたい」(塩谷耕吾)
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