統計データ書き換え問題で検証委が初会合 「期限短すぎる」の声
国土交通省による「建設工事受注動態統計」の書き換え問題で、同省は23日、統計の専門家や弁護士ら第三者による検証委員会を設置し、東京都内で初会合を開いた。国交省の現職や過去の担当者らへの聞き取りなどを行い、来年1月中旬までに報告書をまとめて総務省の統計委員会に提出する。
検証委は、委員長となった元大阪高検検事長の寺脇一峰弁護士や、統計委員会委員だった舟岡史雄・信州大名誉教授ら6人の有識者で構成される。
初会合に先立ち、斉藤鉄夫・国交相は「年末年始をはさむ1カ月間という極めて短期間での検証をお願いし、申し訳ない。国土交通省、および政府統計の信頼回復に向けて徹底的に検証頂きたい」と述べた。
寺脇委員長は非公開で行われた初会合後、取材に応じ、「日程的にかなりタイトだがすべての事実を明らかにできるよう、国土交通省に全面協力して頂く」と話した。聞き取りは連日実施し、会合はオンラインも活用するという。調査の対象者や時期については「昔からの長い経過があり、必要な人に話を聞きたい。まずは事実関係をはっきりさせ、原因究明と再発防止を議論する」と述べた。
この問題では、建設業者から工事の受注状況を月ごとに聞き取る統計のデータを書き換えた結果、2013年度からは受注実績の「二重計上」が生じ、統計が過大になっていた。朝日新聞の報道で判明したが、これまでに動機や詳細な経緯は明らかになっていない。
岸田文雄首相は16日の参院予算委員会で、真相解明のため第三者委員会の設置を表明。期間を1カ月以内としたが、首相の表明からすでに1週間が過ぎ、国交省内からも「期限が短すぎる」との声が上がる。
検証委員はこのほか、元名古屋地検特捜部長の岸秀光弁護士、早稲田大政治経済学術院の西郷浩教授、元東京地検検事の白石俊輔弁護士、中城重光弁護士。(山本孝興、磯部征紀)