第37回30年前の性暴力を教師に認めさせた 被害女性らが市教委に要望書

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小若理恵
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 約30年前に元教師の男性から性暴力を受けたという三重県の40代の女性らが23日、地元の市教育委員会に被害発覚時の適切な対応や予防策を求める要望書を提出した。元教師はこれまで事実関係を認めていなかったが、女性らがやりとりを重ね、事実を認めて謝罪する文書に合意。立証が難しいとされる過去の性暴力事案で、加害側が事実を認めるのは異例だ。

 女性らは小学6年のとき、担任だった元教師から修学旅行などで胸を触られたり、キスをされたりしたという。2018年の同窓会をきっかけに、被害を受けたと話す同級生が複数いたことが判明。隣の学級担任だった男性に相談し、地元の市教委に通報した。

 聞き取り調査は、当時、元教師が在職していた別の自治体の市教委が実施。元教師は「覚えていません」と事実関係を認めず、19年3月で自ら退職した。懲戒免職などの処分は受けなかった。

教師と4回の面会 「最も残酷で危険な選択せざるを得なかった」

 その後、女性らは「事実をなかったことにできない」として元教師に直接面会を求めた。今年10月までに計4回の面会で、元教師は「性暴力の事実を認め、謝罪する」との内容が記された文書に署名した。女性らによると、元教師は「申し訳ありませんでした。子どもたちが言うなら事実だと思います」と謝罪したという。

 女性らが被害を受けた当時、元教師は教室の窓を掲示物でふさぎ、他の教員の目が行き届かないようにしていた。教室で被害を受けた同級生もいたという。

 要望書には、校内の死角を防ぎ、一対一での指導をしないよう求める予防策を盛り込んだ。子どもが被害を認識できるよう、水着で隠れる「プライベートパーツ」を触られても触ってもいけないと幼少期から教えることなども求めた。

 また、地元の市教委が女性らの相談記録を公文書で残していなかったことから、卒業生や保護者であっても相談や聞き取り調査、処分の記録を公文書として残すことを要望した。

 女性らは「市教委の対応が不十分だったために、被害者が加害者に接触するという最も残酷で危険な選択をせざるを得なかった」と振り返る。市教委には「本当のことを知りたいと願う被害者に寄り添う仕組みを整えてほしい」と訴える。

 要望書を受け取った市教育長は「これまでのつらい思いをエネルギーに変えていただいた要望書と受け止め、これからの取り組みにいかしていきたい」と話した。(小若理恵)

女性の1人「心凍らせて生きてきた」

 子どもにとって安全であるはずの学校で担任教師から性暴力を受けた女性の1人は、市教委に要望書を提出するに至った経緯や思いを次のように語った。

    ◇

 私たちは小学校で担任教師から性暴力を受けていました。性暴力を被害として認識し、声を上げるまで約30年の時間がかかりました。性被害は人権や尊厳を侵害するとても深刻な問題です。

 大人になって被害を告白できたとき、証拠や時効の壁で教師は処分されることなく辞めていきました。被害と加害の関係をはっきりさせたい。本当のことが知りたいと思ってきました。

 私たちがうそを言っているわけではない。この経験を無駄にしてほしくない。そういう気持ちを行政にも届けていきたいと思ってきました。

 しかし、時間が経過するほど…

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