ミドリムシ培養、四国中央にバイオ事業新会社 先端素材にも活用

長田豊
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 プランクトンの一種であるミドリムシ(学名ユーグレナ)を、独自技術で大量培養し、先端素材や食品などの原材料として活用するバイオ事業の新会社「ユーグリード」が今月、愛媛県四国中央市で設立された。ミドリムシが作る物質がプラスチックの原料になるなど、脱炭素やSDGs(持続可能な開発目標)につながる素材として注目されており、関係者が期待を寄せている。

 宇高尊己社長らによると、同社はもともと、市内の製紙会社6社が設立した紙加工会社「スバル」の1部門として3年前に発足した。当初は製紙会社の排水処理槽でのミドリムシ培養を検討していたが、断念。だが、事業化を探る中で昨年1月、宮崎大学農学部の林雅弘教授が育てた、培養速度が従来株の約10倍となる育種株にたどり着いた。

 「従来株の培養速度では事業化は難しかった」と宇高社長。育種株を「ハイパー・ユーグレナ」と名付けて商標登録するとともに、培養実験を繰り返し、タンクで大量培養する技術を確立。今年5月には工場を新設し、今月の新会社設立にこぎ着けた。林教授は「わずか2年で工場や新会社を立ち上げるのはまずあり得ないスピード。地に足のついたビジネスとしてぜひ成功させてほしい」と話す。

 ミドリムシは、高い栄養価から食品分野での利用が先行している。同社も商品化第1弾としてマグロと米粉にミドリムシを混ぜた猫用おやつを来年1月に発売する。

 ただ、宇高社長らが特に期待をかけているのが、ミドリムシが糖分を取り込んで作り出す多糖類「パラミロン」と、パラミロンから作る繊維状の先端素材「パラミロン・ナノファイバー」(PNF)の利用だ。

 パラミロンは、環境負荷が低い新たなプラスチック原料などとして注目されている。PNFは、鉄の5倍の強度があり重さは5分の1という植物由来の「セルロース・ナノファイバー」(CNF)と同等の特性がある上に、不純物がなく、生産コストも低い素材として様々な工業製品に応用が可能だという。

 同社は現在、培養に使っている5トンタンクを来年中に2基増設して3基態勢にした上で、連続培養できる高性能タンクも1基設置。年間1千トンで国内トップクラスのミドリムシ生産量を目指すという。

 宇高社長は「紙や不織布の原料として使えば、製品の性能アップと環境負荷低減をともに実現できる。『紙のまち』そのもののあり方を変える可能性がある素材だ」と話している。(長田豊)