フードデリバリー配達員事故防げ 業界団体と京都市、府警が協定

原田達矢、向井光真
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 コロナ禍で拡大する食事宅配サービスについて、自転車配達員の交通事故を防ごうと、料理宅配代行業者でつくる「日本フードデリバリーサービス協会」と京都市京都府警が連携協定を結んだ。安全講習などを通じて、狭い路地が多い京の街を走る配達員の、交通マナー向上を狙う。(原田達矢、向井光真)

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 協定に基づき、市や府警は、市内の交通事故発生場所の情報や自転車のマナーをまとめたリポートを毎月提供。来年度は春と秋に交通安全講習の実施を検討する。協会は、会員企業に情報を周知するほか、配達員が把握した道路の損傷状況を市に提供したり、地域の交通安全運動に参加したりする。

 「うわっ、危ない」「全然前が見えなかった」

 片手にスマートフォンを持った男性配達員が声をあげて、安全コーンでつくられたコースを自転車で走り抜ける。ふらついてコーンにぶつかると、「脇見運転はこのように危険です。絶対に避けてください」と注意を受けていた。

 11月、京都市左京区の岩倉自動車教習所で、配達員向けの講習会があった。協会に加盟し、市内で事業展開するウーバーイーツジャパンや出前館など5社の配達員や管理者計約40人と市職員、下鴨署員が参加した。

 配達員らは、教習所のコースで、スマホを模した紙を自転車に貼り付け、それを見ながら走行。人の飛び出しや、障害物に気づけるかなどを確かめた。

 講習では、市職員が「2019年度は自転車が関係する事故のうち7割が交差点内だった」と、自転車事故の特徴を説明した。警察官からは、管理者に対し、年末に向けて配達員に交通ルールを徹底する呼びかけをするよう求めた。

 参加した中京区の赤松隆男さん(41)は、配達員仲間から「急な動きをする車と接触しそうになった」という話をよく聞くという。「交通ルールを改めて学ぶことができた。車との車間距離を空けるなど安全に気をつけて、配達を続けたい」と話した。

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 3者が協定を結んだ背景には、食事宅配サービスの利用が増え、配達員の交通マナーが問題視されるようになったことがある。

 今年は、新型コロナウイルス感染拡大による、緊急事態宣言で外出自粛や在宅勤務が続いた。調査会社「エヌピーディー・ジャパン」によると、2021年の出前市場規模は約7975億円で、19年比で91%増とコロナ前の2倍近くになる見込みだ。

 サービス利用者の増加に伴い、市には昨年から「交通ルールを守って」「もっと啓発が必要」など、配達員の交通マナーへの苦情が数件寄せられるようになったという。

 府警によると、20年中の自転車事故は962件。年々減少しているものの、全事故に占める割合は20%前後を推移している。事故類型では、出合い頭が464件、右折左折時が270件、追い越し追い抜き時が48件だった。

 京都市内の自転車事故は、ピークだった04年の2815件から、19年には781件と3分の1以下に減少した。ただ、20年9月の京都市民千人へのアンケートでは、市内を歩行中に自転車を危険に感じたことが「よくある」「時々ある」が計83%を占めた。

 11月の協定締結式で、門川大作市長は「フードデリバリーは市民生活を支える新たな社会インフラの一つとなっている」と話した。府警関係者は「協定によって、リュックで目立つ配達員や管理者に交通マナーを守ってもらい、市民にも自転車の安全利用を促したい」と期待する。

 協会共同事務局の西村健吾さんは「京都は細い路地が多く、人、車、自転車、バイクが錯綜(さくそう)するような交通状況になっている。京都の街に調和した形でフードデリバリーサービスが根付くよう、真摯(しんし)に取り組む」と語った。