「リワークプログラム」、その中身は? 心の不調からの復職支える
連日のように続く大阪市のクリニック放火事件の報道で、「リワークプログラム」という言葉がたびたび登場します。心療内科や精神科で行われている取り組みのようですが、どんなものでしょうか。日本うつ病リワーク協会理事長で精神科医の五十嵐良雄さんに聞きました。
――リワークプログラムとは何ですか
うつ病などの精神疾患で休職している人の復職を支援し、再休職を防ぐリハビリのプログラムのことです。リターン(戻る)・トゥ・ワーク(仕事)でリワーク。会社に出勤するように施設に通い、同じ病気の仲間と集団で活動して復職の準備をします。精神科デイケアやデイナイトケア、ショートケアなど施設によって違いますが、原則として保険診療で行います。
――心がつらい人にとって、会社に出勤するように通ったり、集団で活動したりするのは負担が大きいようにも感じます
もちろん、心身を休め、投薬などの診察による治療を優先します。回復してきたら、起床や就寝、食事の規則正しい生活のリズムを取り戻すことを重視します。リワークを始めるのは、症状が落ち着いてから。リワーク中も定期的に診察し、治療と同時並行で進めます。
――五十嵐さんがリワークプログラムを始めたきっかけは
2003年に東京・虎ノ門で精神科クリニックを開業し、多くの患者に接しました。入院が必要なほど重症でない人がほとんどで、うつの症状が消えて回復した人には、復職可能という診断書を出しました。ところが、多くの人が再びうつとなり再休職しました。
そんなとき、NTT東日本関東病院(東京)で行われていた「職場復帰援助プログラム」をみて、復職前の準備が大切だと気づき、05年に「リワーク・カレッジ」を始めました。虎ノ門のクリニックでリワークに取り組んだ人の就労継続率は高い水準を維持しています。
――クリニックでは、具体的にどんなことをしますか
リワークの第一段階では、週2、3日通ってもらい、午前8時半~午後3時のデイケアをします。卓球やストレッチ、座学などに取り組みます。卓球は、ダブルスだと他人と協力してプレーすることになる。仲間やスタッフとの交流がリハビリにつながります。
この段階でもっとも重視する…
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