「ホトトギス」名誉主宰の稲畑汀子さん、「朝日俳壇」選者を退任
俳句結社「ホトトギス」の名誉主宰で日本伝統俳句協会会長の稲畑汀子(ていこ)さん(90)が、39年以上務めてきた朝日俳壇の選者を退任することになった。親族を通じて申し出があった。
朝日新聞歌壇俳壇面の「稲畑汀子選」は、12月26日付の紙面が最終。年間の入選句から1句を選ぶ「2021年朝日俳壇賞 稲畑汀子選」の1月9日付の掲載をもって退任する。
稲畑さんは1931年、横浜市生まれ。祖父は俳句界の巨人と称される高浜虚子、父は俳人の高浜年尾で、いずれも朝日俳壇の選者を務めた。
稲畑さんは35年に兵庫県芦屋市に転居し、幼い頃から俳句修業を始めた。年尾の死去を受けて79年に「ホトトギス」主宰を継承し、1982年9月に大野林火の後任として朝日俳壇の選者に就任。当時選者だった加藤楸邨、山口誓子、中村草田男とともに選にあたった。直近では長谷川櫂さん、大串章さん、高山れおなさんとの4人で選者を務めてきた。
2013年に長男の廣太郎(こうたろう)さんに主宰を譲ったあとも、名誉主宰として虚子以来のホトトギス伝統の句風「有季定型」「花鳥諷詠(ふうえい)」「客観写生」を貫き、後進の育成にも力を注いできた。信念は「善意を持っての選句」。現在、朝日俳壇への投句はがきは週に5千~6千枚届くが、そのすべてに丁寧に目を通してきた。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。