海外視察「実質的には観光」 地裁、県議20人分旅費を返還請求命令

谷瞳児 阪田隼人
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 日中の飲酒などが批判を浴びた香川県議による海外視察は単なる観光だとして、市民オンブズ香川などが浜田恵造知事に対し、県議20人に旅費約3400万円を返還させることなどを求めた訴訟の判決が24日、高松地裁であった。天野智子裁判長は20人全員に対して、計約760万円の返還を請求するよう浜田知事に命じた。

 原告側は2016~17年の4件の海外視察について提訴。判決はこのうち、昼間から飲酒する県議らの姿がテレビ番組で報道された17年6月のドイツイタリアへの旅費については、6人に全額を返還請求するよう命じた。ほかの3件についても、一部の返還請求を命じた。

 判決文で天野裁判長は、飲酒について「職務中に許されるものではない」と指摘。視察後の報告書についても「(ネット百科事典の)ウィキペディアを引用」「ありふれた感想にすぎない」などとして、「実質的には海外視察の名を借りた観光といえる」と結論づけた。

 一方、原告側が県に対して返還を求めていた旅行会社への業務委託料約950万円については、財務会計上、違法ではないとして棄却した。

 オンブズ香川の植田真紀代表は判決後の会見で「視察が慣例化していたが、今後はあり方が問われてくる」と話した。県議会は「県の主張が一部認められなかったことは、議会としても残念」などとする議長コメントを出した。(谷瞳児、阪田隼人)

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