マスク指導「瑕疵なし」と報告、高槻の小5死亡 父親「結果ありき」
大阪府高槻市の小学校で今年2月、体育の授業で走っていた5年生の男子児童(当時11)が倒れて亡くなった問題で、大学教授らでつくる学校事故調査委員会は24日、報告書をまとめ、市教育委員会に答申した。報告書は、児童は「5分間走」の開始時はマスクをつけていたとみられるがその後の詳細は不明で、学校側のマスクの指導などに事故の原因となり得る瑕疵(かし)はみられなかったと結論づけた。
報告書などによると、児童は2月18日、体育の授業でグラウンドを5分間走る「5分間走」の時に倒れた。救急搬送されたが、心不全で死亡が確認された。保健室に運ばれた時はあごにマスクがかかっていた。
報告書は、児童がマスクをつけて5分間走に臨んだと認められるが、いつあごにずらしたかなどの詳細は不明だとした。また、医師からの意見として、一般的にマスクをした状態で学校が実施したような5分間走を実施しても、マスクが直接の原因で死亡するとは考えにくいとされているとした。
「医学的な検証、諮問内容に入れず」
結論として学校側に瑕疵はみられなかったとしたが、事故原因を説明する記述は報告書にはなかった。市教委幹部は会見で、「授業中に起きた事故で、あくまでも学校の教育活動の内容に問題がなかったかを調べてもらい、再発防止策を検討するために事故調査委を設置した。医学的な検証は諮問内容に入れていなかった」と語った。
児童の両親は市内で会見した。父親は「委員の人選などを申し入れたが拒否され、蚊帳の外だった。結果ありきの調査で、不信感を抱いている」と話した。
市教委は7月に事故調査委の設置を発表。委員会は大学の教授と准教授の計3人で構成し、大川尚子・京都女子大教授が委員長を務めた。委員会は事故に至った過程などを調べ、計7回の会合を開き、再発防止策も含め報告書にまとめた。(瀬戸口和秀、茶井祐輝、加藤あず佐)
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