プロボノ…地域や人を支え、自分も成長 地方での発展に驚く
「プロボノ」を知っていますか? 仕事で身につけたスキルや経験を生かし、NPOなどを無償で支援する社会貢献活動のことです。最近では全国各地に広がり、企業が研修として採り入れるなど、より多様な展開が。地域社会を支える存在にもなりつつあります。(編集委員・秋山訓子、吉備彩日、寺島笑花)
支援先から学ぶことが多い
小國泰弘さん(49) 企業としてNPOなどにプロボノを提供するデロイト トーマツ コンサルティングの ソーシャルインパクトオフィス ディレクター 2011年から、NPOなど非営利団体にコンサルティングサービスを当社の社会的責任として無償で提供しています。余暇ではなくて仕事の一環であり、プロとして提供する品質はビジネスの時と同じです。これまでに社として50団体に90案件を支援。中期経営計画の立案を中心に3~6カ月ほどで行います。
参加者は会社が決めます。若い世代を中心に希望者が多いですが、中には最初、参加に戸惑う人も。が、ほぼ全員、最後には支援先のNPOのファンになり、参加できてよかったと感謝をし、多くがその後も付き合いを続けています。支援先から学ぶことがとても多いからです。
自分自身、16年にNPO難民支援協会のプロボノに参加しましたが、それまでNPOについて全く知りませんでした。が、こんな社会課題があり、それに対しこんな熱量と真剣さで取り組む人たちがいるということに衝撃を受け、心打たれました。一方で課題もあり、自分の経験を生かせると思いました。支援終了後、希望して担当部署のマネジャーに手を挙げ、その後ディレクターになりました。
若い世代の入社理由に、社会課題解決に関わりたいからと挙げる人が増えました。優秀な人材を引き付ける要因になっているのです。もはやそういう会社でないと選ばれなくなっているとすら感じます。(編集委員・秋山訓子)
7100人が登録、NPO支援
嵯峨生馬さん(47) NPOとプロボノをつなぐNPO法人サービスグラント代表理事 プロボノの活動を始める前の2001年に、別のNPOを立ち上げたのですが、運営の難しさを感じていました。活動を理解してもらいづらい、ボランティアが途中でいなくなってしまう、アドバイスをくれる人は多くても実行までしてくれる人は少ない……。
04年に米国でNPOを視察…