過去最大、巨額予算案はこうして生まれた 霞が関で着々…その結果は

榊原謙
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 政府の2022年度のお金の使い道を定めた当初予算案が24日、決まりました。一般会計の歳出(支出)の合計は107兆5964億円で、10年連続で過去最大です。

 内訳をみると、お年寄りの増加で医療費や年金などの「社会保障費」が伸びたほか、日本の安全を守るための「防衛費」も増えました。

 一方、政府が国民から集める税金は過去最高の65.2兆円に達しそうです。おかげで国の借金である国債の新たな発行は、前年度よりおさえられそう。ただ、借金頼みで予算案を組んでいることに違いはありません。

 今回の当初予算案の編成は、8月末の「概算要求」の締め切りから本格化しました。概算要求というのは、各省庁が「こんな事業をやりたいので、いくら予算が必要です」というリストをつくり、とりまとめ役である財務省に届けることです。22年度予算向けの概算要求の総額は約111兆円で、過去最大でした。

 概算要求が全て届くと、財務省はそれをもとに、各省庁と事業の必要性や予算の額などの話し合いを始めます。そのため例年、各省庁の幹部や担当者たちが財務省に押し寄せ、省内はごった返していました。ところが、今年の9月の省内はとても静か。他省庁の人たちが面会の順番待ちをしていた廊下もがらんとしていました。

 その後、10月に発足した岸田内閣は、コロナ対策や各種給付金、公共事業などから成る経済対策をまとめ、その財源を手当てするために21年度の補正予算を今月成立させました。一方で、22年度の当初予算案の編成も着々と進めていました。

 たとえば、国土交通省と財務省が検討していた壊れたインフラを元に戻さないことで、復興の財源を捻出する仕組みです。こうした新しい仕組みをつくるのにもお金が必要です。

 文部科学省でも、小学校高学年で「教科担任制」を始めるために、先生を増やすための予算を要求していました。中学校のように担任以外の専門の先生が授業を担当する仕組みです。

 予算編成は、利害がぶつかる場所でもあります。今回の予算編成で最も火花を散らしたのが、2年に1度の「診療報酬」の改定でした。医療サービスなどの値段を決めるものですが、その舞台裏ではこんなやりとりがありました。

 そして12月24日の午前、22年度の当初予算案がまとまり、閣議決定されました。

 ここからは、予算案に盛り込まれた事業を詳しくみていきましょう。

 まずは政府が力を入れる脱炭素化に関係する事業の記事です。電気自動車の購入補助金を現行の2倍、最大80万円まで引き上げます。

 「経済安全保障」って聞いたことがあるでしょうか。重要な物資を確保したり、先端技術が海外に流出したりするのを防ぐ施策です。そうしたことに役立つ技術開発を応援したり、人を育てたりします。

 看護や介護などの現場で働く人たちの賃上げです。今回の診療報酬の改定でも、看護職員の賃上げ原資をどう確保するかが論点の一つになりました。

 新型コロナ対策の多くは21年度の補正予算の方に予算が盛り込まれたのですが、当初予算では厚生労働省の対応部署を大幅増員することになっています。

 近年、予算額が過去最大を更新し続けているのが防衛費です。今回は補正予算にも多額の予算を積んで戦闘機などを購入することにしており、当初予算案とあわせた予算額は初めて6兆円に達しました。

 国の予算を考えるうえで大切なのは、本当に必要な事業にお金をつけているのか、あるいは解決しなければならない課題にしっかりと向き合っているのか。そういった視点から、今回の予算案を様々な角度から検討したのがこの記事です。

 今回の予算案では、税収などでまかないきれない収入不足の穴埋めをする国の借金、国債の新規発行が36.9兆円となりました。2年ぶりに前年より減ったのですが、それでも支出の3分の1を国債に頼っています。現役世代のつけを将来に回し続けていいのか、という点も真剣に考えなければなりません。

 政府はこの予算案を年明けに開かれる国会に出し、来年3月までに予算を成立させたい考えです。巨額の予算についてどういう議論がなされるか、注目していきたいと思います。(榊原謙)