病気の子を支える家族に「第二の家を」 滞在施設がCFで資金募る

藤野隆晃
[PR]

 入院した子どもに付き添う家族のための滞在施設が資金難に直面している。運営費は寄付と募金でまかなっているが、コロナ禍で活動の制限が続く。「家族の『第二のわが家』を守りたい」と、31日までクラウドファンディング(CF)で運営資金を募っている。

 最先端の小児医療拠点として、全国から患者が集まる国立成育医療研究センター東京都世田谷区)。患者家族たちが宿泊する「ドナルド・マクドナルド・ハウス せたがや」が敷地内にある。4階建てのハウスには23部屋あり、約70人が滞在できる。料金は1泊1千円。2001年12月の開設以来、延べ約3万6千人、約1万4千家族を受け入れてきた。

 青森市の奈良未希さん(33)は昨年11月からハウスに滞在している。先天性の肝臓の病気がある長女の花穏(かのん)さん(9)は生まれてから半分以上の時間を病院で過ごしている。

 以前入院していた岩手県の病院では、奈良さんは病室の補助ベッドなどで寝泊まりして付き添っていた。一人になって気持ちの整理をする場所がなく、ささいなことで花穏さんと言い合いをして、後悔することもあった。

 いまは日中の面会時間に花穏さんと過ごし、ハウスに戻って食事や睡眠をとる。すぐ病室に駆けつけられるので、花穏さんも笑顔で見送ってくれるという。

 奈良さんは「親が不安だったり落ち込んだりしていると子どもにも伝わる。気持ちを切り替えられる場所があるのはありがたい。第二の家になっています」と話す。

 スタッフの大半はボランティアで現在60人ほどが携わる。大学生の岡村和樹さん(20)は「利用者の方に『おにいさんがいると安心する』と言われたこともあった」と話す。

 施設の責任者を務める峯田洋一さん(62)によると、利用希望者が多く、断らざるを得ないこともある。それでも資金難で増築は難しく、さらにコロナ禍によってイベントができず、収入が減った。

 CFで寄付を募ったところ、25日に目標額の390万円に到達した。寄付は締め切りの31日まで継続するという。峯田さんは「今必要な運営資金だけでなく、今後より多くの家族を受け入れられるようにするためCFを企画した。これを機にハウスに関心を抱いてもらえたらうれしい」と話す。

 CFは専用サイト(https://camp-fire.jp/projects/view/520025別ウインドウで開きます)からできる。

9割が睡眠不足や食事のバランス悪化

 入院する子の家族が滞在できる「ホスピタル・ホスピタリティ・ハウス(HHH)」は、関連施設からなる組織「JHHHネットワーク」によると、全国に130以上ある。ほとんどは資金が潤沢ではなく、寄付やボランティアが支えている。地方を中心にハウスがない県も多いという。

 子どもの入院を経験した家族を対象にした19~20年のウェブ調査(1054人回答)では、付き添いを経験した人の9割が睡眠不足や食事のバランス悪化を訴え、約半数が体調不良を経験していた。

 調査をした聖路加国際大学の小林京子教授(小児看護学)は「緊張感がある病棟から離れ、自分の時間を持てる場所があることは大事」とハウスの効果を説明する。子どもが入院中の家族同士がハウスで交流することで、「わかり合える仲間ができ、孤独感の解消につながる」という。藤野隆晃