第12回花婿は実の兄?会えないままに結婚初夜、画面に映った夫婦の証し
イスタンブール=高野裕介
連載「それでも、あなたを」トルコ・パレスチナ編③(完)
【トルコ編①】役所勤めの僕は、難民になった SNSで花嫁探すも、途切れた連絡
トルコで暮らす難民のワリードと、パレスチナで暮らすアラア。ネットで知り合い、一度も会わないまま結婚を決めた2人は、互いに「テスト」をします。
アラアは、イスラム教徒の1日5回の祈りの時間にあえて重なるよう、ワリードに電話をかけた。
誘惑に惑わされぬ信仰心があるかを試したかったからだ。
ワリードはたとえアラアとの通話中でも、10分ほど中座して、祈った。
一方、ワリードは「おとり」を使って、アラアの愛情を確かめた。
友人に頼んだり、自ら匿名のアカウントを作ったりして、アラアに好意を持つ男性がいるかのようなメッセージを送った。「友達になろうよ」「君とプライベートでやりとりしたい」
でもアラアは、どの「男性」に対しても、「ごめんなさい。私には好きな人がいるの」としっかりと断った。
2人の信頼関係は深まる一方、新たな壁が立ちはだかった。お互いの家族だ。
特に保守的なアラアの家族に…